GPIFの運用状況(第1四半期)
▣ 国内株式の積極的な買い増しはなかった模様
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月4日、平成29年度第1四半期の運用状況を公表しました(図表1)。
GPIFの第1四半期の運用の主なポイントは以下のとおりです。
- 国内債券の構成割合が基本ポートフォリオの35%を下回っても、国内債券の保有残高の減少を容認(売却もしくは償還金を国内債には再投資せず)
- 国内株式、外国株式については、積極的な売却や買入れはなかった模様
- 外国債券については、若干買い増し
▣ 国内株式の買い余力は
6月末時点で、短期資産を含めた5資産の構成比率は、国内債券30.5%、国内株式24.4%、外国債券13.5%、外国株式23.9%、短期資産7.7%。一方、短期資産を除いた4資産での構成比率については、国内債券33.0%、国内株式26.4%、外国債券14.7%、外国株式25.9%程度と試算されます。
国内株式については、5資産の構成比率で25%まで割合を引き上げる場合には、買い余力は7,000億円程度とみられます。ただ、昨年度から積極的な買い増しに動いている形跡はうかがえず、今後も現状維持もしくはESG(環境・社会・ガバナンス)投資などの運用の多様化が中心になると推察されます。とはいえ、相場が下がり、構成割合が低下した場合には、買い増しに動く可能性は高く、相場の下支えは期待できます。
今後については、
- 国内債券の構成割合低下が継続するか
- 仮に国内の株式相場が一段と上昇し、国内株式の割合が25%を超えてきた場合に、売却して構成割合を低下させるのか
- 10兆円を超えている短期資産の運用先
なども気になるところです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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