GPIF、内外株式に買い余力
▣ 昨年度第4四半期はマイナスも、通期では10兆円のプラス
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7月1日、2021年度の運用実績を公表しました(図表1)。ロシアによるウクライナ侵攻や米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ開始、また国内における新型コロナウイルスの感染再拡大等により、不安定な相場が続いたことから、第4四半期(1-3月)は2.2兆円のマイナスとなりましたが、2021年度を通しては10兆円超のプラスの運用益を確保しました。
2021年度は、特に後半に市場環境が大きく変化する中、外国債券の社債等の比率低減、株価指数先物の利用による資産間リバランスの迅速化、ドル金利上昇懸念に伴う為替ヘッジ付き米国債の削減、株式アクティブファンド残高の減額などにより、ポートフォリオのリスク管理強化に努めたとしています。
▣ 外国債券、国内株式、外国株式の構成割合が低下
GPIFは2020年度から、基本ポートフォリオについて、前年度までの国内債券 35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%の構成割合を変更し、それぞれ25%としました。また、為替ヘッジ付き外国債券と円建て短期資産を国内債券に、外貨建て短期資産を外国債券に合算しました。
2022年1-3月期は、国内債券の構成割合が上昇した一方、外国債券、国内株式、外国株式の構成割合が低下しました。
国内債券のほか、昨年12月末に25%を下回っていた外国債券、国内株式を若干買い増しました。25%を上回っていた外国株式については売却し、構成割合を25%に近づける動きになりました。
▣ 内外株式に買い余力
足元では、国内債券、外国債券の構成割合が3月末と比べ上昇している可能性があります。一方、国内株式については24%程度、外国株式については24%台前半まで低下しているとみられます。
今後、相場が大きく動かないことを前提にすると、国内債券、外国債券については残高維持もしくは若干の売却の可能性があります。
国内株式については2兆円程度の買い余力があるとの見方もでき、相場の下支え材料になりそうです。外国株式についても買い増すことで、25%程度に戻すことも想定されます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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