生保の2019年度下期の運用計画
国内の大手生命保険会社の2019年度下期の運用計画が出そろいました(図表1)。以下、日経QUICK、ロイター、Bloomberg、時事通信社などの報道を基に、運用計画をまとめています。
▣ 国内債券
2019年度下期も、国内の金利が低位で推移すると見込まれる中、国内債、特に金利の低い国債に対する消極的な姿勢は継続しそうです。とはいえ、社債などのクレジット物(信用リスクがあり、その分利回りが上乗せされる債券)や超長期債など、比較的利回りの高い債券に振り向ける傾向は変わっていません。超長期金利は9月上旬で底打ちした格好ですが、30年債利回りで0.5%を投資の目安とする一部の生保などにとっては、足元の利回り0.4%程度はやや物足りない水準です。
▣ 外国債券
外国債券については、内外の金利が大きく低下していること(図表2)、海外の中央銀行が利下げなどの金融緩和に動く中で為替が円高方向に動く可能性があること、為替の変動リスクを回避するためのヘッジコストを差し引くと投資妙味が薄れることなどの理由から、これまで続いていた積極的な姿勢はやや後退しています。もっとも、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに動き、ヘッジコストが下がればヘッジ付き外債を積み増す、また円高が進行する場面では為替ヘッジを付けないオープン外債への投資を検討する方針の生保が散見されます。また、国内債券だけでなく外国債券についても、引き続きクレジット投資で収益の向上を図る方針のようです。
▣ 国内株式
国内株式については、若干ながら投資に前向きな姿勢がみられます。「株価が割安となる局面で安定的な配当が見込める銘柄を中心に資金を振り向ける」、「金利で運用できる環境ではないので、エクイティのリスクを取りにいく」、「残高削減も、成長が期待できる一部銘柄への投資は進める」、「高配当銘柄や中小型株、環境・社会・企業統治の非財務情報にも着目したESG関連など良い銘柄があれば買う」等、割安、配当、収益性などに着目しているようです。
▣ 外国株式、その他
また、外国株式についても、「配当利回りの高さを重視」、「割安局面では増やす」方針の生保が散見されます。
その他、インフラファンド・不動産投資信託(REIT)・ヘッジファンドなどの債券や株式と価格変動特性の異なる(連動性が低い)オルタナティブ投資や不動産については、リスク分散に加え、中長期的な収益性向上のために投資する傾向がみられます。
▣ 下期の相場見通し
生保各社の下期の相場見通しは、上期での見通し(年度もしくは年度末)に比べ、国内と米国の長期金利の水準を大きく引き下げたのが目立ちます。下期については、国内の長期金利はおおむねマイナス圏で、米長期金利は1%台を中心に推移する見通しです(図表3)。日経平均株価、NYダウについては上期と大きく変わらない見通しで、日経平均株価については2万円台前半、NYダウは2万ドル台半ばから後半での動きを想定しています。ドル円については若干円高、ユーロ円については大幅に円高に修正しています。ドル円の期末値は 105 円が最低で、大幅な円高・ドル安は見込んでいない模様です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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