来週の金融市場見通し(2019年1月7日~2019年1月11日)
■来週の見通し
米中の経済指標の悪化に加え、米アップルが中国での販売低迷を受けて売上高見通しを下方修正したことから、円高、株安、債券高(長期金利低下)が進行するなど、19年は波乱の幕開けになりました。来週7、8日に開催される米中の通商協議などで、米中貿易摩擦への警戒が後退すると、内外の金融市場はやや落ち着く可能性も。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言なども確認しておきたいところです。
◆株価 : やや軟調な展開か
日本株は、やや軟調な展開が予想されます。中国の景気減速懸念が強まっている上、昨年は堅調だった米国景気も今年は減速を余儀なくされる見通しです。これを背景に米国の利上げ観測が後退する中、為替はドル安・円高へ振れやすい状況です。また、米国政治の機能不全も引き続き株価を圧迫しそうです。ただし、日本株の割安感、および米中通商協議の進展期待などを踏まえれば、株価が一方的に下落する可能性は低いと考えられます。
◆長期金利 : 日銀は動くか
米利上げ観測が大きく後退し、米長期金利が約1年ぶりに2.5%台まで低下していること、来年度の国債発行額が減額される予定であること、日銀が1月の国債買入れオペの方針で買入額を減額しなかったことに加え、日銀がマイナス金利を容認するとの見方などから、長期金利はマイナス圏に。金利の動きが急で、若干上昇する可能性はあるものの、大きく押し上げるには材料に欠ける状況。日銀が国債買入れ減額などに動くか注目されます。
◆為替 : ドル円の上値は重そう
米長期金利の低下を受けたドル売りに加え、米株価の大幅な調整、米政府機関閉鎖への警戒等を背景に、円を買う動きが広がりやすいと思われます。年初は市場の薄い中一時105円割れとなりましたが、しばらくは急落後の調整局面となり、やや方向感の乏しい展開となりそうです。米政府機関閉鎖が終了し、株価が底堅い動きを見せれば、ドル買いが優勢になる可能性もありますが、基本的にはドル円は徐々に下値を探る展開となりそうです。
◆Jリート : 内外の金融市場の落ち着き待ち
東証REIT指数は、昨年末は3日続伸し、年間で111.14ポイント(6.68%)高となりました。ただ、年初は株式相場の下落を受け、投資家心理が大きく悪化したことを背景に、反落スタート。内外の金融市場が落ち着かないと、Jリートも不安定な動きが継続する可能性があります。もっとも、長期金利がマイナス圏に沈む中、一段の下落局面では相対的に高い予想分配金利回り(4.2%程度)に着目した買いなどが強まることも想定されます。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(12月) 1月11日(金)午後2時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断DI(指数)は11月に前月比1.5ポイント上昇の51.0と、「良い・悪い」の境目とされる50を11か月ぶりに上回りました。北海道地震など自然災害の影響が薄れたことなどが背景です。
ただ、その後に世界経済の減速懸念が高まったことや、日本株が大幅に下落したことなどから、12月の現状判断DIは前月比低下が見込まれます。とはいえ、堅調な雇用環境や旺盛な設備投資意欲を踏まえれば、DIの大幅な低下は避けられる見通しです。
米消費者物価指数(12月) 1月11日(金)午後10時30分発表
米国の消費者物価指数(CPI)は11月に総合CPIで前年比2.2%上昇、また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは同2.2%の上昇と両指数とも市場予想通りとなりました。
米国では個人消費を中心に景気拡大が継続中です。 しかし、ここのところエネルギー価格が下落しており、総合CPIの下押し要因となっています。一方で、米中貿易摩擦で関税率が引き上げられており、原材料コストが上昇していることや、賃金の上昇が物価を下支えしています。現状、インフレが加速する気配はなく、インフレ率は米金融当局の目標である2%近辺で推移しそうです。
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