来週の金融市場見通し(2017年7月17日~2017年7月21日)

2017/07/14

■来週の見通し

カナダ銀行(中央銀行)は12日、高い経済成長や住宅価格の高騰を受け、約7年ぶりの利上げに踏み切りました。他方、すでに利上げ局面にある米国では、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会証言で、利上げを緩やかに進める方針を示し、市場に安心感が広がりました。来週は、欧州中央銀行(ECB)理事会が予定されています。ドラギ総裁が先日、「デフレ圧力はリフレ(デフレは脱却したが本格的なインフレには至っていない状態)に変わった」と述べたことを受け、欧州の長期金利が大きく上昇、ユーロも急伸しました。鎮静化を図るのか、量的緩和策の縮小を示唆するのか注目されます。

◆株価 : 決算発表待ち

日経平均株価は、安倍内閣の支持率低下は重しも、堅調な米雇用統計を好感し、週初は2万円を回復。以降は、為替をにらみながら20,100円を挟んだもみ合いが継続しました。日本と欧米の金融政策の方向性の違いから進んでいた円売りが一服しており、やや上値が重くなっています。ECB理事会で、量的緩和縮小が示唆され、日銀が異次元の金融緩和策を堅持する姿勢を示すと、円売りが広がり、株価が押し上げられる可能性も。本格化する企業決算発表も確認したいところです。

株0714

◆長期金利 : レンジ継続

日銀が3年超5年以下の国債買入額を増額したことから、国内債はやや落ち着きを取り戻しています。週央にはイエレンFRB議長が、利上げを緩やかに進める方針を示し、米長期金利の上昇が一服したことも、国内の長期金利上昇を抑制。日銀は金融政策決定会合で、異次元の金融緩和策を堅持する姿勢を示すとみられます。物価見通しを引き下げると、国内金利が若干ながらも下押しされる可能性も。欧米の金利動向をにらみながらも、国内の長期金利はレンジでの動きが続きそうです。

債0714

◆為替 : 方向感を探る

良好な米雇用統計を受け、米長期金利が上昇したことから、日米金利差の拡大が意識され、ドル円は一時114円半ばまで上昇しました。FRBのイエレン議長の議会証言を受け、米利上げペースが鈍化するとの見方が広がり、ドル高・円売りは一服しています。欧米のインフレ圧力は強まっておらず、米利上げや欧州の量的緩和の縮小も慎重に進められるとみられます。金融政策の方向感からはドル高・円安も、ドル円の動きは鈍そうです。110円台前半を中心にしたレンジでの動きが続きそうです。

円0714

来週の注目点

日銀金融政策決定会合 7月20日(木)午後に結果発表

日銀は今回、金融政策方針を現状維持とする見込みです。ただし、物価見通しに関しては、大幅な下方修正を余儀なくされるものと予想されます。

現在、米国は利上げ局面にあるほか、ユーロ圏でも金融緩和策の縮小が現実味を帯びつつあります。これらを受け、世界的な金利上昇傾向が続いています。

しかし、日本では消費者物価指数の上昇率が小幅なプラスにとどまっており、日銀のインフレ目標(2%)には程遠い状況です。そのため日銀は、今回の会合でも、長期金利を「ゼロ%程度」に誘導する方針を堅持する見込みです。

その場合、米欧と日銀による金融政策の違いが意識され、米ドルやユーロなどに対し、一時的に円安へ振れる可能性があります。

辻0714

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