来週の金融市場見通し(2024年6月17日~2024年6月21日)
■来週の見通し
米連邦公開市場委員会(FOMC)では 7 会合連続で政策金利が据え置かれました。注目された政策金利見通しでは、今年の利下げ回数が前回 3 月の 3 回から、1 回に減りました。市場では 2 回が大方の予想だったので、ややサプライズとなりました。とはいえ、2 回利下げの可能性は残ります。他方、日銀は国債買入れ減額について、次回会合において具体的な減額計画を決定するとし、今回会合での減額は見送りました。今後は、物価や雇用の動向などを確認しながら、日米の金融政策を占っていくことになります。
◆株価 : 堅調な展開か
来週は、日銀が金融政策決定会合で市場参加者の意向を踏まえて、国債購入減額を慎重に進める姿勢を示したことを好感し堅調な展開が見込まれます。また、国内企業の株主還元の動きが拡大していることや新しい少額投資非課税制度を活用した個人投資家の買付額が増加していることも追い風です。ただ、18 日発表の米小売売上高を受けて米利下げ観測が後退すると米金利が上昇し、株式市場を下押しする可能性があり注意が必要です。
◆長期金利 :一段の低下は限定的か
5 月の米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)が市場予想を下回り、インフレの鈍化を示したことを受け、米金利とともに、国内の長期金利も低下する動きとなりました。日銀の国債買入れ減額が、今回の会合で見送られたことから、国内金利はさらに低下しました。米国では利下げへの期待が根強いものの、早晩、日銀の国債買入れが減額されることや利上げも意識されることから、一段の低下は限定的になりそうです。
◆為替:底堅い地合いの中、方向感模索
ドル円は、底堅い地合いが続きそうです。米国の主要インフレ指標が、インフレ圧力の低下を示したことを受け、米長期金利は 4.2%程度まで低下しています。一方、6月のFOMCにおいて、年内の想定利下げ回数が従前の3回から1回へ減少したことに加え、日銀が具体的な国債買入れ額の減額決定を先送りしたことから、ドル円は底堅い地合いが続きそうです。来週は、米小売売上高などの結果をにらみながら、方向感を模索する展開となりそうです。
◆Jリート :金利動向を注視
来週のJリート市場は、日銀の国債買入れオペの減額方針を受けた金利の動きに左右されそうです。日銀の国債買入れ減額が先送りされたことや、米利下げ期待などから、長期金利の上昇が一服していることは安心材料です。とはいえ、全国消費者物価指数(CPI)が上振れすると、長期金利に上昇圧力がかかり、リートの下押し圧力となることも想定されます。もっとも、割安感や分配金利回りに着目した買いなどが下支えしそうです。
■来週の注目点
全国消費者物価指数(5 月) 6 月 21 日(金) 8 時 30 分発表
全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は 4 月に前年比 2.2%上昇と、3 月の同 2.6%上昇から伸びが鈍化しました。生鮮食品を除く食料品の伸びが鈍化したことがコアCPIを押し下げました。
5 月のコアCPIは、前年比 2%程度の上昇率が見込まれます。引き続き教養娯楽費などが物価を押し上げそうです。今後も当面、賃金の引き上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は 2%程度で推移すると予想されます。
米小売売上高(5 月) 6 月 18 日(火) 21 時 30 分発表
4 月の米小売売上高は、前月比で横ばいとなり、市場予想を下回りました。インフレが高止まりする中、同指標が市場予想を下回ったことから、消費者が慎重姿勢を強めていることが示唆されました
米国では、コロナ禍での貯蓄が大幅に減少したとみられる中、米連邦準備理事会(FRB)による利上げを受け、借り入れコストが高止まりしていることから、底堅かった消費者需要が徐々に軟化しつつあるようです。5 月の米小売売上高は前月比 0.3%増程度を想定しています。
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