来週の金融市場見通し(2019年7月15日~2019年7月19日)
■来週の見通し
注目されたパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言では、通商をめぐる不確実性や世界経済に対する不安が、引き続き米経済見通しへの重しになっており、「米経済成長の下支えに向けて適切に行動する」と、利下げに前向きな姿勢が示されたことから、市場に安心感が広がりました。来週は米企業の決算発表が本格化します。米企業決算や中国の4-6月期の国内総生産(GDP)で、米中貿易摩擦の影響も確認したいところです。他方、米国とイランの対立が激化することには注意が必要です。
◆株価 : 米企業決算スタート
米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を上回り、早期の米利下げ期待が後退したことから、やや売りに押されたものの、パウエルFRB議長の議会証言を受け、下げ幅を縮小する動きに。15日から本格化する米企業決算では、貿易摩擦が米企業に与える影響に注目されますが、やや低調な決算となる見方が出てきており、企業業績に振らされる展開も想定されます。米国とイランの軍事衝突の可能性が高まると、投資家心理が悪化する可能性も。
◆長期金利 : レンジの中で居所を探る
金融緩和期待を背景に、内外の長期金利は低下傾向が続いていましたが、過度な緩和期待が後退したことから、国内の長期金利はじりじりと上昇しました。7月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げはほぼ確実な状況ですが、0.5%の大幅な利下げではなく、0.25%の利下げにとどまりそうです。長期金利は、イラン情勢に加え、米企業決算や米金融当局者の発言などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。
◆為替 : 方向感は出にくそう
米雇用者数の伸びが予想を上回ったことから、過度な利下げ期待が後退し、米金利が上昇する中、ドル買い・円売りが優勢になり、ドル円は一時109円に迫る動きに。ただ、パウエルFRB議長の議会証言を受けて利下げ観測が再び強まり、ドル売りがやや優勢に。7月末のFOMCでの米利下げをほぼ織り込んでいることから、方向感は出にくいとみられます。ただ、利下げ幅や利下げ回数をめぐる思わくや、イラン情勢に振らされそうです。
◆Jリート : 上値は重いか
東証REIT指数は、週初こそ利益確定売りに押され下落したものの、超低金利が長期化するとの見方が広がる中、相対的に高い利回りに着目した買いが続きました。11日には2007年12月以来、11年7か月ぶりに2,000ポイントを上回りました。直近で2,000ポイントに迫った2015年1月の予想分配金利回りが3%弱だったのに対し、足元は3.7%半ばと高い水準。とはいえ、上伸する場面では利益確定売りに押されることも想定されます。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(6月) 7月19日(金)午前8時30分発表
日本の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は5月に前年比0.8%上昇と、4月(同0.9%上昇)から伸びが鈍化しました。大型連休後にパック旅行費・宿泊料の上昇が一服したことなどが要因です。
6月以降は、携帯電話料金の値下げによる影響が顕在化する見通しです。また、10月の消費税増税を控え消費者の節約志向が強まる中、値上げを行いにくい状況となっています。そのため6月のコアCPIは、前年比0.7%の上昇へ、伸びがさらに鈍化するものと見込まれます。
米小売売上高(6月) 7月16日(火)午後9時30分発表
米国の小売売上高は5月に前月比0.5%増と堅調な結果となりました。飲食店、自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は前月比0.5%増と市場予想を上回りました。ガソリン、家電製品、スポーツ・趣味用品や書籍など幅広い項目で堅調な推移です。
インフレ見通しが低調な米国経済ですが、引き続き個人消費が景気を支えている状況です。前年比3%程度の着実な賃金上昇と半世紀ぶりの低失業率、また、米連邦準備制度理事会の利下げ機運の高まりなどがその背景と思われます。6月は前月比0.2%増程度を想定しています。
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