金融教育の広がり

2025/04/08

・まず、自分はどんな金融教育を受けたかを考えてみるとよい。自分に親はどうであったか。自分の子供たちはどうであるか。金融の世界にいると当たり前と思うことが、一歩外に出てみると通用しない。金融は特殊で難しいと思われている。

・実はそんなことはない。しかし、身近で切実な知見であるはずなのに、うまくコミュニケーションできないことも多い。

・金融を学び、金融を教えるという視点に立ってみると、1)一定の意欲があれば、知識として学ぶことはできそうだが、それを実践するとなると、うまくいかない、2)人に教える場合、どういうロジックで話したらピンとくるのか、これを手短に話すというのは意外に難しい。

・2024年4月に、J-FLEC(ジェイフレック:金融経済教育推進機構)という組織が設立され、活動を始めた。金融リテラシーを高めていくための教育を推進する。金融庁の認可を受けた法人である。安藤理事長の話はいつも分かり易い。

・家庭の金融、ライフステージに合わせた金融を考えていく。その教育を受けた上で、資産形成や資産運用に入っていければ、いわゆるお金が身に付いてこよう。

・小学生からシニアまで、全ての世代を対象にする。金融トラブルや詐欺に巻き込まれないように、適切に将来の資金を貯められるように運用していく。NISAと機を一にした重要な政策の1つである。

・まずは学ぶことである。次に相談することである。自分は何に困っているのかも、わからないことがある。学ぶと、いかに分かっていないかが分かってくる。そうすると、相談する内容もはっきりしてくる。こうなれば、そのあとの動きはスムーズになろう。

・J-FLECは認定アドバイザーの資格を与えた上で、その人達が教育に出かけたり、相談にのったりする。独立した活動で、金融機関からお金をもらったり、個別の金融商品を紹介したり、斡旋したりしてはいけない。

・J-FLECは教育に徹する。資産形成は投資であるから、投資は金融機関のビジネス領域であるとして、ここは棲み分けていく。

・私は、金融を学ぶには、株式投資を実践するのが一番よいと考えている。まずは少し学んで、その後は自分のお金で投資して、株主になってみる。

・そうすると、いろいろな金融知識が身近なものとなって、一気に身に付いてくる。不安があっても、少額からのスタートなので、さして心配するほどでもない。NISAやiDeCoの制度についても理解が深まろう。

・どんな会社の株主になるのか。身近な会社、よく知っている会社、好きな製品やサービスを提供してくれる会社、自分が働いている会社、取引をしている会社など、対象となる会社はいっぱいあろう。むしろありすぎて迷ってしまうかもしてない。

・次に、それらの会社が、いい会社かどうかを考えてほしい。いい会社って、何が、どこがいいのか。それを自分なりに考えてみる。そして、会社のHPを見に行って、少しだけ調べてみる。

・この調べてみるという動作は必ず入れてほしい。いずれこれが習慣になってくると、投資が楽しくなる。

・いいと思う会社を自分で選ぶことである。人の意見に頼らない。いろんな意見は聞いてよいが、最後は自分で決めることである。自分で決めずに、誰かに頼るだけでは、判断力は身に付かない。

・決めたら少額だけ買ってみる。買うためには、いろいろな手続きが必要である。これも勉強である。何事も学び、学習と思うとさして苦にならない。

・面倒くさいし、分からないではなく、手続きは経験すれば慣れていくので、心配ない。分からければ、聞けばよい。顧客だから金融機関は必ず親切に教えてくれる。

・株主になってみると、株価は毎日動いている。たまに、大きく上下することがある。下がった時には損が目立ってくる。でも、慌てる必要はない。いい会社と思って買ったのだから、じっくり持って、会社をみていけばよい。

・逆に上がったからといって、売る必要はない。目先の損益に左右されずに、株式の変動を長い目でみていく。そうするといろんなことが分かってくる。

・次第に、長期・積立・分散投資の原則も、実感が得られるようになろう。NISAの投資に力を入れることができるようになる。

・株が下がった時にどのように行動するか。1円でも損をするのは嫌だという人は、まだ株式投資に向いていない。

・下がったり、上がったりしながら、いい会社の株はトレンドとして上がっていく。なぜか。それは業績が伸びていけば、それを反映して株価(企業価値)も上がっていくからである。

・投資信託では、オルカン(オール・カントリー型の投信)が人気を集めている。全世界の株式を組み込んだ投信(例えば、eMAXIS Slim)は、米国を中心に世界の株式に投資するので、変動も安定しており、世界経済が伸びていくならば、長期的にリターンも得られるはずである。

・毎月型の継続投資なら、何かが起きて株価がドスンと下がっても、いずれ取り戻してくる。下がった時には、いっぱい買えるので、戻る時のリターンも大きくなる。慌てる必要はなく。じっくり構えていればよい。

・金融経済教育の広がりで、金融デバイド(格差)をなくすように、人々のナレッジを高め、その上で、長期積立投資家を増やしていきたい。

・そうすれば、資産運用立国として、国民の豊かさをより高め、より守ることができるようになろう。ぜひ、身の回りでお金の話を話題にできるカルチャーを作っていきたいと思う。

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