来週の金融市場見通し(2019年3月18日~2019年3月22日)

■来週の見通し

英国では離脱延期を欧州連合(EU)に求める動議が可決され、3月末の離脱期限は延期になりそうです。他方、米中通商協議については、4月以降にずれ込むと報じられました。トランプ米大統領は14日、合意できるかは「今後3~4週間で分かるだろう」と説明しました。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持の見込み。景気判断に加え、あわせて公表される経済見通し、政策金利見通しが注目されます。

◆株価 : 様子見姿勢に

株式市場では様子見姿勢が強まりそうです。注目される米中通商協議の合意は、4月以降へずれ込む見通しです。英国の欧州連合離脱については、6月頃まで延期される可能性が高まっています。日本や米国の金融政策に関しては当分、大きな変更はないとみられます。また、中国経済の減速が懸念されているものの、景気刺激策の効果を見極めるには時間が必要です。これらより日経平均株価は、2万1千円台で膠着感が強まりそうです。

◆長期金利 : 低位もみ合い継続

2月の米雇用統計で雇用者数の伸びが予想を大幅に下回ったことを受け、米利上げ観測が後退する中、良好な需給を背景に国内債は堅調な動きが継続。1月の機械受注統計が市場予想を下回り、景気減速懸念が広がったことや、日銀が強力な金融緩和を継続するとの見方から、長期金利は一時マイナス0.05%と今年最低に。日銀金融政策決定会合は現状維持も、景気認識を引き下げ。来週はFOMC待ちですが、低位もみ合いが続きそうです。

◆為替 :  レンジ継続だが突発的な動きも

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ様子見スタンスと米国景気の先行き不安を背景に、米長期金利は低下基調で推移しており、ドル円の上値は限定的です。また、米中通商協議最終合意に際しての首脳会談が延期され、同協議の成り行きに懸念が生じています。これまで円満合意への期待値が上がり過ぎていることから、今後市場ではネガティブサプライズ懸念が大きく、リスク回避の円買いが出やすい状況です。

◆Jリート : 堅調地合いも、利益確定売りには注意

東証REIT指数は5営業日続伸し、年初来高値を更新。約2年8か月ぶりの高値まで上昇しました。長期金利が一時マイナス0.05%と今年最低水準まで低下する中、Jリートの相対的に高い分配金利回りに着目した買いが続いている模様です。来週のFOMCで政策金利見通しが引き下げられると、世界的な低金利が継続するとの見方が一段と強まり、Jリート市場を押し上げることも想定されます。ただ、利益確定売りには注意が必要です。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(2月) 3月22日(金)午前8時30分発表 

日本の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は1月に前年比0.8%上昇と、昨年12月(0.7%上昇)から伸び率が拡大しました。特に宿泊費や自動車保険料の上昇が伸び率拡大に寄与しました。これは一時的な要因とみられますが、電気・ガス代などの上昇が見込まれるため、2月についても0.8%の上昇が見込まれます。ただ、4月以降に予定される携帯電話料金の値下げなどを踏まえれば、コアCPIは年央以降、0%台前半まで低下するものと予想されます。

ユーロ圏製造業PMI(3月)  3月22日(金)午後6時発表

マークイットユーロ圏総合PMIは昨年8月の54.5から一貫して低下していましたが、2月は51.9と前月よりやや上昇しました。しかし注目の製造業PMIは拡大・縮小の分岐点である50を割れ、49.3となりました。昨年の7月から一貫して低下しています。

ユーロ圏ではサービス業は比較的堅調ですが、製造業中心に減速感が強まっています。域内需要だけでなく中国景気の減速を受けて域外需要が大きく減少していることが主な要因です。3月の製造業PMIは2か月連続で50を割り込むことが想定されます。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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