楽天証券投資Weekly 2013年5月17日 第37号

2013/05/17

マーケットコメント:日経平均は1万5,100円台に達する。円ドルは102円台。

強い相場が続く:2013年5月13日の週の株式市場も引き続き強い相場となりました。前週末のアメリカの経済指標が良好だったことを受けて、13日月曜日から日経平均は上値を追う展開となり、15日に1万5,000円台に入りました。17日金曜日は100.88円高の15,138.12円で引けました。

為替レートも、今週に入ってから対ドルでは1ドル=102円台に入りました。対ユーロでは前週末から1ユーロ=132円台に入りましたが、足元では131円台になっています。

個別銘柄を見ると、輸出・グローバル関連株と新興市場株が値を飛ばす展開となりました。トヨタ自動車が10日終値で6,050円と6,000円台に入りましたが、13日以降も続伸し、17日にはザラ場で一時6,500円台を付けました。5月に入って株価が急伸している富士重工業は、良好な決算を発表した5月8日以降も続伸し、5月10日に2,000円台に入った後、5月17日にはザラ場高値2,444円を付けました。本田技研工業日産自動車マツダも同様に株価が上昇しています。また乗用車メーカーだけでなく、商用車メーカーの日野自動車いすゞ自動車も好調な決算を反映して株価が上昇しています。

自動車各社の2014年3月期業績予想における為替想定レートは、1ドル=90~95円、1ユーロ=120~125円と足元の為替レートに比較して控えめですが、アメリカ、アジアでの自動車販売好調と、為替の両方の要因による業績上乗せ期待がもてます。自動車セクターの株価上昇は持続的なものになる可能性があります。

ソニーも10日終値1,787円から5月15日にはザラ場高値2,146円を付けました。その後調整していますが、15日の日経新聞1面で報じられた、NTTドコモソニーの「エクスペリア」とサムスンの「ギャラクシー」の2シリーズに販促費を集中するという記事が好感されています。今年の夏から約1万円でソニー製スマートフォンが購入できることになりそうですが、スマートフォンやタブレットPCで音楽を聴いたり映画やテレビ番組を見ることが、アメリカだけでなく日本でも一般的になり始めています。ソニーの低価格スマートフォンとソニーの音楽、映画、ゲーム事業は相性がよく、相乗効果が見込めそうです。

一方、不動産株、J-REIT株は、金利上昇が重石になって株価はパッとしない展開でした。株価の好調と景気回復(期待)によって国債利回りが上昇していますが(グラフ10)、このためJ-REITの分配金利回りと国債利回りとの格差が縮小しており、これがJ-REIT株の下落に繋がっています。J-REITの株価下落は物件取得のための資金調達力に影響しますので、J-REITは物件取得増加→地価上昇を引き起こす大手プレーヤーであるという構図に変化が生じることになります。このため、J-REITの株価変調が不動産株にも波及したと思われます。

新興市場は調整か:新興市場でも週前半に値を飛ばすものが多くなりました。前週に好調な決算と株式分割を発表したガンホー・オンライン・エンターテイメントは10日終値104万2,000円から大幅高して14日ザラ場高値163万3,000円まで上昇しましたが、さすがに急騰の反動がでており、一時110万円台まで急落しました。17日は126万円で引けました。

安倍政権の3本の矢(成長戦略)の焦点になっているバイオ関連では、iPS関連のタカラバイオは5月9日ザラ場高値4,295円が17日終値3,280円になっています。ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングも5月8日ザラ場高値88万7,000円が同じく65万1,000円になっています。

このように、新興市場が全般的に調整しています。これが、単なるスピード調整なのか、あるいは、株価が過大に評価された反動がでているのか、現時点はまだわかりません。ただし、後者であれば新興市場の調整は長引く可能性があります。

なお、17日のマーケットを見ると、新興市場、不動産関連株ともに、これまで調整していたセクター、銘柄が反発しています。自動車、電機中心に輸出グローバル関連は持続的な株価上昇が期待できそうですが、新興市場、不動産関連株の反発が持続的なのかどうかが、20日の週の相場の一つのポイントとなりそうです。

株式市場の外部環境は改善中:もっとも、アメリカ経済の回復、アジアの成長持続に、日本の景気回復(1-3月期実質GDPは個人消費と輸出がけん引し、前期比年率換算3.5%増)が加わっており、株式市場を取り巻く経済環境はよくなっています。当面は日経平均15,000円台を固めた後、16,000円を目指すことになると思われます。

ちなみに、15,000~16,000円のレンジで、月足で見た下方傾向線と日経平均が接触すると思われます(グラフ2)。この下方傾向線を突破してなお上昇が続けば、大勢下落から大勢上昇へ相場が転換することになります。この数週間は注目点の多い相場になりそうです。

表1:楽天証券投資WEEKLY

グラフ1 日経平均株価:日足


グラフ2 日経平均株価:月足

グラフ3 信用取引評価損益率と日経平均株価


グラフ4 円/ドルレート:日足

グラフ5 円/ユーロレート:日足


マーケットスケジュール

2013年5月20日の週の日本での注目点は、21、22日の日銀金融政策決定会合と、22日の4月の貿易統計です。

アメリカは、22日の4月の中古住宅販売件数、23日の4月の新築住宅販売件数、24日の4月の耐久財受注です。

20日の週も、株価、為替、金利に影響を与えるイベントが多くなりそうです。

経済カレンダー
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楽天証券経済研究所所属のアナリスト今中能夫による今週1週間の国内株式市場の情報がつまった週刊レポートです。今後の相場の見通し、決算発表情報、個別銘柄の短期株価見通しなどを分かりやすく解説しています。
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