中国「日本の30年遅れ説」について

2018/09/14

今週の国内株市場ですが、日経平均の推移はこれまでのところ、先週末の終値からは大きく値を戻してはいるものの、週末の14日(金)にメジャーSQが控えていることもあってか、やや落ち着かない値動きになっています。また、TOPIXやマザーズ指数は弱含み気味になっていて、不安定さも垣間見せています。

 

確かに、米国の通商政策の動向やハイテク株の軟調をはじめ、通貨安を発端とした新興国に対する懸念、中国の景気減速観測や、相次いで国内を襲った自然災害の影響など、足元の相場ムードはネガティブな要素に包まれていますが、それでも株式市場が崩れずに頑張っている面があります。

 

不安が一巡さえすれば年末相場に向けた期待が高まりやすい状態を何とかキープしているとも言えますが、こうした不安材料の中でも、特に注目を集めているのが中国です。米国による制裁関税第3弾の発動の有無やこれまでの通商摩擦の影響などが焦点になっているのですが、実際に上海総合指数の動きを見ると、いわゆる「チャイナ・ショック」時の安値(2016年1月につけた2,655p)を取引時間中に下回る場面が増えてきており、警戒心の強さが感じとれます。

 

中国については「日本の30年遅れ説」というのがあります。例えば、日本が成長期に入ったのは1950年代ですが、中国では30年後の1980年代から始まりましたし、また、日本が1980年代に世界第2位の経済大国になったのに対し、中国はやはり30年遅れの2010年代に実現させています。この流れに従うのであれば、1990年代に日本がバブル崩壊したことになるため、2020年代に中国で同様の事が起こることになります。

 

日本の状況をもう少し具体的に見ていくと、日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれた1980年代は、オイルショックを乗り切ったことから始まりました。そして、円安・ドル高の追い風を受けて、自動車や家電、半導体などのあらゆる製造業で世界を席巻していきました。それに伴って、米国の対日赤字が拡大し、次第に日本への風当たりが強まることになり、1985年9月の「プラザ合意」によって日本円が大幅に切り上げられ、円高不況を警戒した日銀が大幅な金融緩和を実施し、これがバブル景気へとつながりました。

 

中国の存在感の拡大も、リーマンショックを乗り切るために打ち出した4兆元の景気対策をきっかけに始まりました。人民元安を背景に輸出を伸ばしていち早く景気を回復し、ITやハイテク分野で米国と競争する水準まで技術力を向上させ、『厲害了 我的国(すごいぞわが国)』という映画が封切られるまでに至りました。そして、かつての日本と同様に、米国の対中赤字が拡大し、中国への風当たりや警戒が強まってきています。米国が中国に求めている内容には、貿易赤字解消だけでなく、知的財産権の保護や安全保障面などが挙げられますが、人民元への対応もその中に含まれています。

 

もちろん、明確な根拠に乏しい説ですので、必ずしもこの通りになるわけではありませんが、日本がバブル崩壊に至る経緯と、現在の中国が似ている部分があることは認識しておく必要はありそうです。

 

 

 

 

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