FOMCで生じた「ギャップ」は波乱要因となるか?
今週の日経平均ですが、25日移動平均線をサポートとして意識される展開が続いています。相場が崩れていないという面ではしっかりしている印象ではありますが、米FOMCという注目イベントを前に様子見が強く、上値の方は取引時間中こそ2万円の大台に乗せる場面がみられたものの、維持できない状況が続いています。
そのFOMCでは市場の予想通り、0.25%の利上げが決定されました。また、今後の見通しについても、従来の年内1回・来年3回という利上げペースが維持されたほか、さらに、FRBが保有する資産縮小についても初めて言及され、早ければ今年中の開始に含みを持たせたほか、具体的な金額やペースも示されています。
利上げに加え、資産縮小という新たな金融引き締め方針となったことで、「決定した政策は予想通り、今後の方針についてはタカ派寄り」という印象です。会合後の記者会見でも、イエレン議長の景気や物価に対する強気の姿勢が感じ取れるものとなりました。
ただし、その一方で、FOMCの結果公表と同じ日に、5月の小売売上高と消費者物価指数が発表されたのですが、その結果は市場予想を下回る弱さを見せるものとなりました。最近のマーケットでは米国の景気減速を警戒する声も出始めており、FRBとの景気認識とのあいだに「ギャップ」が生じ始めています。
もっとも、FOMCを受けた米国株式市場はS&PやNASDAQは小反落したものの、NYダウは連日で年初来高値を更新していますし、債券市場でも、利上げの決定や今後の方針が示されたにもかかわらず、長期金利は上昇していません。「景気はまだ弱いとは言えないが、FRBが想定するペースで金融引き締めができるほどは強くはない」と受け止めたと考えられ、程良い経済成長と金融政策の正常化という「適温相場」が継続している格好と言えます。これを受けた国内株市場も日経平均がマイナスとプラスを往来する反応となり、今のところ目立った方向感は出ていません。
そのため、今後は、米国経済がFRBの想定する金融引き締めペースに耐えられるほどの強さがあるか、景気認識に対してすでにギャップが生じている中、FRBが粛々と引き締めを実施して行けるのかが焦点になりそうです。米国で弱い経済指標が発表される度に、相場が揺れ動く展開が見られる可能性が高まったと言えそうです。
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