トランプ氏の会見は甘いハネムーンか成田離婚か
今週の11日(日本時間12日)に、トランプ米次期大統領が記者会見を行いました。トランプ氏は11月の米大統領選挙で勝利して以来、記者会見を開いたことがなく、ツイッター上での一方的かつゲリラ的な情報発信が中心でした。実際に、このトランプ氏から発せられる短文メッセージが相場材料になることは少なくなく、今回の記者会見は初のメディアとの対話の場として高い注目を集めていました。
記者会見後の米金融市場の初期反応を整理してみますと、株式市場(NYダウ)は下落後に反発して上昇に転じたほか、為替市場(ドル/円)についてはドルが売られて円高が進行し、債券市場は米10年債利回りが一時的に低下したもののほぼ横ばいに戻すなどまちまちの動きでした。これまでのような「株高・ドル高・金利高」の流れが大きく加速することも失速することもありませんでしたが、少なくとも一服感が漂っているようです。
というのも、記者会見での主なやり取りがロシアとの関係報道に絡んだもので大半を占め、市場がいちばん知りたがっていた経済政策(減税や財政出動、金融規制緩和)について、これまでよりも深掘りした言及がなかったためです。そのため、来週1月20日の大統領就任や2月9日の予算教書のタイミングで新政権の政策を見極めることになり、その具体的な内容と実行力が焦点になりそうです。
同時に、貿易については中国やメキシコに加え日本も名指しして「不均衡である」と言及するなど、経済政策の保護主義的な姿勢と発言が随所に見られたほか、前政権の政策(オバマケア)への批判、メキシコ国境の壁建設に関してすぐにでも建設を始めるといった、これまでの市場があまり織り込んで来なかった、トランプ氏のネガティブな要素が目立ってくる可能性には注意が必要です。
また、メディアとの対話も気掛かりです。当初、記者会見は昨年の12月15日に予定されていたのが延期となって今回実施されたわけですが、その理由についてトランプ氏は「でたらめな報道のため会見を控えていた」としたほか、今回の会見で大半の時間を割いたロシアとの関連性についても、メディアの批判に対する反論に重点が置かれていたことなど、メディアとの対話姿勢や関係はあまり良好ではないように見えます。
一般的に、新政権発足後の最初の100日間は「ハネムーン期間」と呼ばれ、この期間は米国のメディアと野党が新政権に対する批判をしないという慣例がありますが、ハネムーンに行く前に出発前の空港で別れ話が持ち上がるような事態になることも考えられ、政策そのものも重要ですが、外部への情報発信力と対話力も試されていると言えそうです。
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