相場の迷いは来週に払拭されるか

2022/12/09

今週の国内株市場ですが、こまでのところ日経平均は軟調な展開が目立っています。

テクニカル分析的には、7日(水)の取引終了時点まで75日移動平均線が株価のサポートになっていたのが、8日(木)の取引開始直後に下回ってしまいました。下にはまだ200日移動平均線が控えているため、年末株高への期待が挫かれた格好にはなっていませんが、一方の上値については25日移動平均線が抵抗となっているため、下値を拾う意欲が感じられつつも、先行きの株高については迷いが生じているような印象です。

その背景には、来週13日~14日に開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)や、FOMC初日の13日に公表される米11月CPI(消費者物価指数)を控え、積極的に動きづらい相場の地合いが影響しているものと思われます。米国株市場でもNYダウ・NASDAQ・S&P500といった主要株価指数が揃って25日移動平均線あたりまで株価を下げています。

実は、米国株市場でも先週あたりから迷いが生じている気配があります。具体的に見ていくと、先週1日(木)に公表された米11月ISM製造業景況感指数が好不況の節目である50を下回る結果となり、景況感の悪化が警戒されて株価が下落する場面がありました。

つい先日までは、景況感の悪化を示す経済指標が発表されると、米金融政策の緩和期待につながって株価が上昇する、「悪材料が株高材料」となっていたのですが、こうした状況に変化が出てきた可能性があるわけです。ただし、今週の5日(月)に発表された米11月ISM非製造業景況感指数は、市場予想を上回る強い結果だったのですが、こちらについては景況感よりも米金融政策の引き締め景況が長期化するとの懸念が広がって、株価下落の要因となっています。さらに、これまで見られたような米金利の低下で株価が上昇するというパターンにも陰りが出てきています。

そのため、足元の米国株市場は景況感とインフレ動向の組み合わせで株価の反応が異なる不透明感が強まったと考えられます。今後、景況感の悪化とインフレの鎮静化が併存してしまうと、スタグフレーション懸念で株価が大きく崩れる可能性があるだけに、来週の注目イベントが相場の迷いを払拭し、年末株高へのシナリオが試される分岐点となりそうです。

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