「掉尾の一振」の可能性
今週の国内株市場ですが、日経平均はやや売りに押される場面が目立ち、25日移動平均線の水準を意識する展開となっています。例年のこの時期はクリスマス前で薄商いとなりやすいほか、最近のコロナ感染者の増加傾向、そして、コロナウイルス自体の変異への不安などが重なったことが背景にあります。
これまでも何度か指摘した通り、株式市場は新型コロナウイルスワクチンの接種開始による将来の「コロナ克服」期待と、目の前の感染拡大傾向による「コロナ不安」との両者のあいだで揺れ動いていますが、足元は後者が優勢になっていると言えます。
それでも、日経平均は26,000円台半ばの株価水準をキープしているほか、先ほども述べたように25日移動平均線が一応サポートとなっています。25日移動平均線の下には75日移動平均線が距離を空けて存在しており、75日線がキャッチアップするまで株価がもみ合うのか、それとも、株価が75日線まで下げていくのかを見極める必要がありますが、テクニカル分析的にはまだ相場は崩れていません。
ひとまず株価が崩れずに済んでいるということは、いわゆる「掉尾の一振」と呼ばれる年末の株高への期待も残っていることになります。ただし、今週は米国議会で失業給付の特例加算給付の延長などを盛り込んだ追加の経済対策が可決したものの、米株市場の反応が「期待材料の現実化による利益確定売り」となっており、株価上昇の口実がひとつ後退してしまいました。もっとも、売りの一巡で需給の重石が軽くなったり、コロナ感染拡大が一服すれば、再び株式市場が上昇してもおかしくはなさそうですが、今年に関してはちょっと難しいかもしれません。
というのも、米国では来年早々、いきなり政治のヤマ場を迎えます。1月5日に米ジョージア州で上院議員の決戦投票が行われ、まだ決まっていない2議席の行方が争われます。
現時点での米上院の獲得議席は、民主党が48議席、共和党が50議席とわずか共和党がリードをしていますが、この決戦投票で共和党が1議席でも確保すれば、大統領と下院は民主党、上院は共和党の「ねじれ議会」の構図が確定します。
その一方、2議席とも民主党が獲得した場合、民主党と共和党の議席が同数となりますが、多数決の際に副大統領(カマラ・ハリス氏)が投票権を持つため、実質的に上院でも民主党が多数派になります。民主党の勝利とれば、積極的な政策による財政赤字の拡大や、GAFAMなど米大手IT企業への規制強化などが警戒され、株式市場にとって悪影響となる可能性が出てきます。
したがって、今年の年末は年明けの政治不透明感を前に慎重な値動きになるかもしれません。
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