日経平均は23,000円台から上値を伸ばせるか?
連休明けとなった今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は戻り基調となり、13日(木)の取引開始時点で23,000円台に乗せてきました。
相場の重石となっていた為替市場のドル安/円高傾向が一服し、最近のコアレンジとなる106円~108円台まで円安が進んだことや、景気敏感株をはじめとするバリュー株への買いが入っていることなどが背景にあります。今後も継続的に株価が上昇し、日経平均が23,000円台からの上値をトライするには、引き続き為替市場の安定と、足元で売られているグロース株との循環物色の流れを作れるかがカギとなります。
ただし、足元の状況をみると、上値トライの意欲が夏場の食欲と同様に減退しつつある「兆し」がいくつか見られている点には注意が必要です。
まずは値動きの範囲です。日経平均の日足チャートの形状ではレンジが続いています。レンジの範囲は、上値が23,000円水準および6月9日~10日の高値を結んだ線、下値は6月15日安値と7月31日の直近安値を結んだ線になります。上値の線にある23,000円~24,000円の価格帯は昨年11月から今年の2月あたまにかけて3カ月以上もみあっていたこともあり、いわゆる「抵抗帯」として意識されやすくなります。
続いての兆しは、日経平均株価水準とPERです。先週末8月7日(金)の日経平均のPERは20.18倍で、20倍を超えてきました。さらに今週12日(水)は21倍台も超えています。過去に遡ると、前週末の7月31日(金)が17.90倍、さらに前の週末7月22日(金)も同じ17.90倍となっていましたが、それぞれの時点の日経平均は22,329円、21,710円、22,751円でした。
つまり、株価の方向感が横ばいの中でPERが上昇しているわけですが、その理由は企業業績です。足元は国内企業の決算ラッシュですが、PERは「株価÷EPS(1株あたり利益)」で計算されます。冴えない決算でEPSが減少すればPERの値が大きくなります。そのため、22,000円台という同じ株価水準でも、PERという「企業の稼ぐチカラ」から見れば割安とは言えなくなってきました。
そして、3つめの兆しは為替市場です。今週は円安傾向となっていますし、多少の円高に対して相場の耐性がついていると思われます。ただ、105円からの円高には注意が必要です。実は、2016年以降の週足チャートで長期のドル/円の推移を見ると、105円割れとなった場面で株価の下落が重なることが多くなっています。
6月半ば以降の日経平均は「失速と回復」を繰り返し、22,000円台を維持していますが、その堅調さの裏では上値トライのエネルギーが弱まっており、本格的な上昇には新たな買い材料の登場が待たれるところと言えそうです。
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