株式上昇基調の「勝負どころ」はここから

2020/06/05

今週の国内株市場ですが、日経平均は22,000円台に乗せ、3日(水)の取引では23,000円台を射程圏内に捉える場面がありました。さすがに過熱感もあり、この日の取引は上げ幅を縮小して終えているものの、足元の上昇基調を維持する展開が続いていると言えます。

 

ここ2週間ほどの日経平均は、コロナ感染の再拡大や米中摩擦などの不安材料を抱えながらも、他国の株価指標と比べてかなり強い印象を与えていますが、その一方で、こうした上昇に違和感を覚える投資家の方も多いと思います。

 

とはいえ、売り方や外国人による買い戻しや個人投資家の新規参入などの需給面に加え、前回のコラムでも触れた通り、抗ウイルスワクチンや治療薬、コロナ禍以降の社会・生活の変化やそれを支える技術(IT・半導体)などの「買える」銘柄が一定数存在していることなど、株価上昇に対するそれなりの理由があります。

 

とはいえ、日経平均は23,000円辺りで上昇がいったんストップする可能性があります。株価チャートを過去に遡ると、昨年11月から今年の2月中旬まで23,000円~24,000円の範囲内で3カ月市場のレンジ相場を続けており、戻り待ち売りが意識される価格帯に差し掛かります。

 

また、急ピッチの株価上昇により、「市場が描く未来」と「実際の現実」のとのあいだに、少なからずギャップが生じており、近いうちに修正されることが予想されます。そろそろ緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルスの感染者の動向が出始めるタイミングですし、感染者の動向次第では経済活動再開のペース鈍化と今後の対応への警戒が強まってきます。

 

日本は政策対応の評判があまり良くないにも関わらず、コロナ感染者数と死者数については世界の中で成功している国として見られています。そのため、状況が困難な他国と比べて経済再開に向けて動き出したことを前向きに評価する動きも株高につながっている面がありそうですが、いざ感染が再拡大した場合には、政策対応や準備に乏しいことが売り材料として見做されてしまうかもしれません。

 

そして、株価の値動きがチャイナ・ショックの時とよく似ているのも気掛かりです。足元の株価は3月19日の安値で底を打ち、約2カ月かけて現在の株価水準まで戻し、200日移動平均線を超えてきましたが、チャイナ・ショックの時も株価がいったん底を打った後、やはり約2カ月にわたって順調に戻して200日移動平均線を超えています。ただし、チャイナ・ショック時はその後に最初の下落を超える大きな下げ局面が訪れています。

 

もちろん、必ずしも歴史が繰り返されるわけではありませんが、近いうちに訪れる株価上昇の一服が、「利益確定の売りをある程度こなして再び上昇していく」のか、「中長期的な下落の入り口」なのかを慎重に見極めていくことになり、ここからが本当の勝負どころになると思われます。

 

 

 

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