株価の支援材料に欠けている視点

2020/02/14

今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は比較的落ち着いた動きを見せ、24,000円台乗せを射程圏内に捉えています。海外に目を向けても、米国株市場では主要株価3指数(NYダウ・S&P500NASDAQ総合)が最高値を更新し、中国株市場では上海総合指数が連日で反発基調を続けているなど、楽観ムードが広がっているような印象です。

 

国内外の金融市場は最近まで中国で発生した新型肺炎ウイルス(COVID-19)の感染が拡大したことへの不安によって揺れ動いてきましたが、ここに来て落ち着きを見せ始めています。

 

その新型肺炎ウイルスについては、感染者の増加ペースが鈍化しつつあるのではという観測が高まってきたことが相場の支えとなっています。確かに、感染拡大によって中国を中心にヒト・モノ・カネの流れが滞り、経済に悪影響を与えていることに変わりはありませんが、事態が早期に収束すればその後のリバウンド期待に加え、これまでの景気見通しが崩れずに済みます。

 

感染拡大はまだ現在進行形ですので、順調に楽観シナリオを辿っていくとは限りません。とはいえ、仮に状況が悪化したとしても、各国が政策対応を打ち出すだろうという見方は強く、実際に中国は次々と経済対策を講じています。

 

また、金融相場が相場を支えている面もあります。米FRBがいわゆる「隠れQE(短期国債の購入)」を昨年10月より実施しているほか、直近でも新型肺炎ウイルス拡大を受けて新興国(タイ・フィリピン・ブラジル)が相次いで利下げを実施しています。「多少の悪材料があっても、金融緩和で何とかなる」的な発想です。

 

ただし、今週は米国議会(下院)でパウエルFRB議長による議会証言が行われましたが、同氏が短期国債の購入を縮小させる旨を発言したことで米株市場が下落する場面があった点には気をつけた方が良いかもしれません。景気や相場環境が良い方向に向かえば、当然ながら金融緩和も出口に向かうことになりますが、市場が実体経済の改善よりも金融緩和の出口を嫌気する感度を示したからです。

 

足元の市場が「金融緩和の継続・拡大は、実体経済の悪化見通しが高まっていることの裏返しである」という視点に欠けていることには注意が必要です。そのため、まだしばらく先のことになるかと思いますが、金融緩和の視点で見た経済見通しと、企業業績や経済データでみた実体面での見通しとのあいだに生じたギャップを修正する局面の到来を想定しておいた方が良いかもしれません。

 

 

 

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