2020年の株式市場は前半が勝負か?

2019/12/27

今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は前週に続き横ばいの展開となっています。海外市場がクリスマス休暇というタイミングもあって薄商いが目立っています。

 

いよいよ2019年相場も残すところあと数日になりましたが、これまでの日経平均の値動きを振り返ってみると、①「景気」、②「企業業績」、③「金融政策」、④「米中関係」の登場人物の事情が絡みあって動いてきました。

 

まず、昨年102日の取引時間中に24,448円の高値をつけた日経平均は年末にかけて株価が急落しました。当時は国内外の企業業績や景況感が絶好調だったものの、やや過熱気味でもあったため、米FRBによる利上げ観測の浮上などで米長期金利が上昇、それに伴う企業業績のピークアウトが懸念され始めて売りに押され始めたところに、米中関係の悪化とその影響も懸念されて株価の下落ペースが加速していきました。

 

2019年を迎えてからは、米FRBが金融緩和へと方向転換したことが相場を支える要因となって株式市場が反発していきます。また、米中協議における合意観測への期待も加わったことで、順調に戻りをトライする展開がゴールデンウィーク辺りまで続きます。

 

ところが、合意目前とされていた米中協議がちゃぶ台返しになったことで再び株価は急落していきます。米国が中国に対して制裁関税を拡大させたり、為替操作国に認定するなど、状況は着実に悪化する一方で、米金融緩和の継続がサポートになったことや、米中協議の行方については楽観と悲観が交互に入れ替わっていたため、上げ下げを繰り返す大きなもみ合いが続きました。

 

そして8月下旬以降は継続的に株価が上昇していきます。そのきっかけは、やはり米中協議への期待です。米中両国から「協議が進展している」、「合意が近い」との発言が断続的に提供され、米中関係の改善に伴う景気や企業業績の底打ち・回復期待が高まっていきました。そしてついに「第1段階の合意」が成立、文書化・署名を待つのみというところまで漕ぎ着けたことで、日経平均は24,000円台に乗せ、年初来高値を更新するまで上昇しました。

 

とはいえ、年末にかけては上値を伸ばせず、冒頭でも触れた通り、足元の日経平均は横ばいが続き、24,000円台も下回る動きとなっています。確かに、米中関係は現時点で良い方向に向かっているのは間違いないものの、合意の内容自体は景気や企業業績を大きく改善させるほどではないほか、来年の米大統領選挙戦の動向次第では、関係が悪化するシナリオも燻っています。

 

また、米国の金融政策についても、利上げ・利下げともにしばらくは次の動きが見込めないため、買い材料としての存在感が低下することも考えられます。もっとも、来年の第2四半期まで続く予定の「隠れQE」の効果もあって、国内外の株式市場はさらなる上値トライの地合いは保っています。

 

その第2四半期後の夏場以降は、米大統領選挙戦の本格化によって積極的に上値をトライしづらくなるほか、そのタイミングで、すでに株価が織り込んでいる景気・企業業績の期待と、実際の状況とのギャップが意識され始めれば、株式市場が調整局面入りする可能性も出てきます。

 

そのため、2020年の相場は春先までのあいだにどこまで上値を伸ばせるかが勝負になるのかもしれません。

 

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