日本株は再び上昇できる? 米中「第一段階」合意の向こう側
今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は軟調な場面が目立ち、11月21日(木)の取引では23,000円台を下回る場面を見せています。テクニカル分析的にもこれまで上方乖離が進んでいた25日移動平均線までの距離を修正するような動きです。
これまで株価を押し上げてきた米中合意に対する楽観ムードがここに来て陰りを見せる印象になっています。今週に猶予期限を迎える中国企業の華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置が90日間延長されるという好材料が出てきた半面、肝心の合意については具体的な進展がなく、米議会では「香港人権法案」が可決されるなどの悪材料も出てきたほか、年内の合意が難しくなっているとの観測が今後の不透明感が強まっています。
とはいえ、いずれ「第一段階」の合意はなされるだろうという根強い見通しと、市場の需給的な要因も相場が相場を支える可能性があるため、思ったよりも下げ止まりは早い可能性があります。
日経平均は8月下旬から11月上旬までのあいだに3,000円以上も値を伸ばしてきたのですが、株価指数先物取引の裁定買い残がさほど増えておらず、急ピッチな株価上昇の割にあまり過熱感が出ていなかったことや、ダブルインバース型ETFの信用買い残が異常に積み上っており、リクツの上では株価が下がり始めた際の買い支え要因が存在しています。もちろん需給面での整理が一巡すれば下げ足を早める可能性があることは意識しておいた方が良さそうです。
何だかんだで米中間で合意に向けた動きが再加速すれば、株価は再び上昇していくと思われますが、その勢いは合意によって緩和・撤廃される関税や規制の度合い次第です。「期待をかなり先取りしていた」なんてことも十分にあり得ます。
また、今後は中国企業に対する米国の規制も焦点になってきます。先ほどのファーウェイをはじめ、監視カメラを手掛けるハイクビジョンに対する取引制限は、ウイグル自治区や香港などの人権侵害が理由になっているほか、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営するバイトダンスについては、IPOが話題になっていますが、買収した米国企業からの欧米顧客のデータ利用について危惧されている面が問題になっていて、中国が2017年に制定した「国家情報法」の存在がネックになっています。いずれも人権問題や安全保障という米中で合意が得られにくい項目が背景にあるため、米中の対立は思っているほど改善しない可能性があります。
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