米中摩擦は「改善」期待から「常態化」ありきへ?
今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は軟調な展開が目立っています。8月6日(火)の取引では20,110円まで値を下げ、6月4日以来の安値更新となる場面も見られています。
相場のムードが軟調に転じたのは、先週末にトランプ米大統領がいわゆる対中制裁関税の第4弾の実施について言及し、米中関係の悪化に対する警戒感が強まったことがきっかけです。さらに、今週に入って米国が中国を25年ぶりに「為替操作国」に認定したことも追い打ちを掛けている格好です。
今回の制裁関税第4弾や為替操作国認定の発表は、トランプ氏が利下げ幅に不満を示したFOMCの直後であることや、中国の「北戴河会議」が開催されるなど、タイミング的にはかなり政治的な意図が感じられます。
前者については、米FRBが次回のFOMCで利下げに動かざるを得なくなるという見方が浮上し、金融相場が継続して相場を支えるという見方がある反面、後者の北戴河会議については、中国共産党の指導部や引退した長老らが集まる会合であり、習近平氏にとっては米国側に弱気な姿勢を見せることができない状況下で米国からの圧力を受けたことになります。
このまま9月を迎えれば、約3,000億ドル相当の品目に対して10%の関税が発動することになりますが、さらなる制裁対象の拡大は中国だけでなく、米国経済への悪影響も懸念されます。
具体的には、今回の第4弾は規模が大きいだけでなく、品目も日用品やスマートフォン、ノートパソコン、ゲーム機などの消費財が多くあります。とりわけ、スマートフォンなどの電子機器は中国以外から代替が難しいことやサプライチェーンの見直しを迫られることになり、結果的に製品の値上げや、生産が滞ることによる企業業績の下押しが懸念され、米国も痛手を負うことが予想されるため、実施までにはまだ紆余曲折がありそうです。
そもそも、米中摩擦が市場の懸念材料として意識され始めたのは昨年の春先頃からですので、かれこれ1年以上が経過したわけですが、最近の動向によって早期の改善期待はかなり後退し、事態は長期化の様相を呈しています。これまでは、「米中ともに最悪の事態は望んでいないため、どこかで折り合いをつけて改善していくだろう」という見方が中心でしたが、実際の状況は段階を踏みつつ、着実に最悪の方向へと進んでいますので、改善を期待していくというよりも、どこで悪化が止まるのかへと焦点が移りつつある印象です。
今後は、ある程度の米中摩擦ありきという「常態化」の中で、景気や企業業績を見ていくことになるのかもしれません。
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