FM 今月のポイント(2017年 3月)
*世界が注目した2月28日のトランプ大統領議会演説は無難に終了しました。内容は想定内で具体性が無かったものの、米国民からは大統領らしい演説と高評価を得ています。実際、演説のトーンがこれまでとは一変しています⇒米国の明るい未来を強調し、議会に超党派での協力を呼びかけています(「米国の惨状(American carnage)」というショッキングな表現を使った1月20日の大統領就任演説に比べて、2月28日のトランプ大統領の米議会上下両院合同本会議での初めての演説は、米国の夢と希望を強調して国民に団結を訴えるという、従来からの米国の大統領らしいものだった⇒゛大統領らしい゛だけで評価されるのも考えものですが?)。最近の遊説まで続いていたコアの支持層だけを視界に入れた(公約実現至上主義:例えば保護主義の正当化)極端な主張も消え、インフラ投資、大型減税を含めた税制改革、オバマケア(医療保険制度改革法)の撤廃と置換、規制改革を穏やかに論理的に訴えていました(具体策の言及は無し)。野党民主党や共和党主流派に対する攻撃的な口調も封印され、協力を呼びかける姿勢も目立っていました。大統領の就任から 40日近く、トリッキーな大統領令、側近の辞任等の混乱続出の政権運営に不安を抱いていた米国民の多くも、この演説を見て安堵したものと思われます(トランプ大統領の高いコミュニケーション力が発揮されている)。あの CNN(トランプ大統領と犬猿の仲)が実施した緊急世論調査でも、演説に好印象を持った有権者が 78%に達している模様です。
*マーケットも安堵感に包まれました。事前には高値を更新し続けていたNY株式市場が材料出尽くし売りに押されるとの観測(トランプ大統領の演説内容に失望する可能性)がありましたが、演説後の株価は急騰、長期金利の上昇からドル高に弾みがつきました(NYダウは 300ドル以上の上昇、ドル円相場も一時 114円台半ばを付けている)。日経平均株価も一時、19,600円台を突破いて年初来高値を更新しています。このまま無難に3月末を迎えたいものですが、例年、波乱の3月相場はまだまだ予断を許しません(3月期末にかけての需給要因による乱高下が予想される)。次の焦点は3月13日に予定されているトランプ大統領の予算教書演説です。大減税の規模、インフラ投資の実際が数値を伴い発表されるものと思われ、マーケットの真意(方向性が決定)が解ります。また、3月15日にはオランダの総選挙が実施され、極右・自由党が躍進することになれば、4月、5月に実施されるフランス大統領選挙でのルペン(極右・国民戦線党首)大統領の誕生確率が高まり、一時的なリスクオフ状況になりかねません。一方で光明もあります⇒米国の3月利上げ確率が一段と高まりました。イエレン議長は3日、シカゴで講演し、「今月の会合で雇用と物価が想定通りに改善していると評価した場合、さらに政策金利を調整することが適切になる」と述べています⇒FRBが 14、15両日に開く、FOMCで利上げを決める可能性を強く示唆した格好です(10日に発表される2月雇用統計の結果で決まる)。今年、利上げ3回が想定されていましたが、4回の可能性も出てきたと思われます。米長期金利が上昇する局面は日本株が世界株を大きくアウトパフォームする傾向にあり、米長期金利の上昇と円安で日本株は大きくサポートされる可能性が高まります。
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