FM 今週のポイント(9月20日)
*米国の9月利上げの確率は低くなり、日銀の検証結果も概ね判明していますが、マーケット参加者の様子見姿勢は一貫しています。先週はTOPIX が2014 年4月以来の7日連続安となりました(2年5ヶ月ぶり)。FOMC、日銀金融政策決定会合を見極めようとする投資家心理の反映ですが、イベント通過後の失望を前提としているように見えます。サプライズを封じて対話方式に転じたはずの黒田総裁にすれば、検証結果は既にマーケットに浸透していると考えていても不思議ではありません(失望は有り得ない?)。日銀幹部から五月雨的に流れている情報を総合すると、「総括的な検証」で、今後の金融緩和の軸にマイナス金利政策の深掘りを据える方針と思われます(現状のマイナス0.1%をマイナス0.3%に拡大)。しかし超長期の国債利回りが大幅に低下するなどの副作用を抑えるため、国債購入では長期と短期の金利差を広げるように促すことも協議する見込みです(イールドカーブのスティープ化)。今年1月に導入を決めたマイナス金利政策は収益悪化を警戒する金融機関が強く反発しており、総括検証を機に撤廃を予想する声もありましたが、日銀は検証で貸出金利の低下などのマイナス金利政策の効果がこうした副作用を上回っているとの見解をまとめると想定されます(日銀政策委員会メンバーのうち、正副総裁の意見は一致しており、審議委員の大半も賛成する見通し)。実際にいつマイナス金利を深掘りするかについては、円相場や経済情勢を見極めたうえで判断することになり、9月の会合でも議論はするが「無限に深掘りできるわけではない」(幹部)との意見があり、慎重に議論するものと思われます(9月会合でマイナス金利の深堀を決定しない可能性もある)。具体的には日銀が実施している年80兆円規模の国債の大量購入について、期間25 年を超す超長期国債の購入を抑えることを議論する可能性が高いと思われます(相対的に超長期の金利引き上げにより資産運用による収益機会を広げる狙いがある)。また、物価2%目標を維持する一方で、「2年で達成する」と表明してきた約束は事実上の撤回を検討するものと思われます。日銀が引き続き金融緩和に積極的に取り組んでいく姿勢を示すため、緩和の期間を明示する時間軸政策の強化などが検討課題に挙がる可能性もあります。
*9月20-21 日の日銀金融政策決定会合におけるコミットメント(マーケットへのメッセージ)はほぼ明確です。ただし、マーケットはマイナス金利の深堀、イールドカーブのスティープ化に戸惑いを感じています。黒田バズーカが喧伝されていたころは追加緩和=円安・株高でした。追加緩和を素直に好感して株価を買い上げればよかったのですが、現状は違います。金融緩和の限界論が叫ばれる状況ですが、実は追加緩和の国内株式市場への影響度は極めて小さくなっています(ポジティブ効果の限界に達している、あるいは複雑度を増している⇒追加緩和=株高の単純な図式は当てはまらない)。その意味では9月会合で追加緩和が無くても、マイナス金利の深堀があっても、国内株式市場への影響度は小さいものと思われます。ただし、スティープ化が成功した場合は、銀行株の買い戻し⇒バリューシフト第二段⇒日経平均株価の上昇が期待されます(即効性なし:じわじわと)。
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