FM 今月のポイント(2016年8月)
*日銀が追加緩和を決定しました(7 月28-29 日開催の日本銀行金融政策決定会合では、以下を内容とする追加金融緩和が決定されました⇒①ETF 買入れ増額:年約3 兆円(補完措置分3,000 億円除く)を年約6 兆円へ、②成長支援資金供給制度を通じた米ドル供給枠の上限拡大及び米ドル供給オペの担保となる国債貸付制度導入:資金枠120 億ドルを240 億ドルへ)。追加緩和実施自体は、事前調査(ブルームバーグ等)で市場参加者の8 割程度が予想していたものでサプライズはありません。内容的には、ETF 買入れ増額にほぼ絞られ、マイナス金利引き下げや国債買入れ増額が見送られたことから、市場では金融緩和の限界を一段と意識した市場参加者が居たと思います。さらに、国債買入れ増額が見送られたことから、市場の期待が根強い「ヘリコプターマネー」政策導入が改めて否定されたと受け止められた投資家も居たと思います。しかし、29 日における市場の反応は、ドル円相場が一時102 円台に円高が進行する場面がありましたが(明らかに今回の金融緩和措置を失望)、日経平均株価は前日比92 円高で終了しています⇒株式市場は大きな失望をしていないことになります(ETF増額が効いている可能性があるが、ヘリマネ的政策を含むさらなる追加緩和への期待感が残っている?)。同時に公表された「展望レポート」では、物価見通しが下方修正されています。16 年度のコアCPI 上昇率 (政策委員見通し中央値)は、前年比+0.1%と、前回4 月比0.4%ポイント下方修正されています。しかし、17 年度見通しについては、同+1.7%で維持され、2%目標達成時期についても、17 年度中との見方を据え置いています。そして、次回決定会合ではこれまでの「マイナス金利付き量的・質的金融緩和政策」の政策効果についての総括的検証を行うことが示されました。黒田総裁の記者会見を拝見する限り、総括的検証で政策の限界を示し、出口戦略の方向性を明確化するとは思えません⇒先行きの(異なる形式を含めたより強力な)追加緩和の可能性を示唆する可能性が高いと考えます。今回日銀は、海外経済の不透明感、金融市場不安定化などの不確実性が企業や家計のコンフィデンス悪化に繋がることを防止すること、企業と金融機関の外貨調達環境に万全を期すことを追加緩和の主目的に挙げています。しかし、実質的には、経済対策の決定を控えている政府との政策協調演出が、追加緩和の大きな動機となった可能性が高いと考えられます(日銀は、今回の措置を含め緩和的な金融環境を整えることが、政府の取り組みと相乗的な効果を発揮する、としている)。17 年度中の2%目標を堅持し、政府とのアコードを維持するとすれば答えはひとつ⇒検証によって導かれる、より強力な政策は実質ヘリコプターマネーしかありません。もちろん、黒田総裁も政府も「ヘリコプターマネー」を完全否定しますが、一方で黒田総裁は「日銀が金融緩和政策をとっている時機に政府が追加的な財政措置を講ずる事はポリシーミックスとしては正当かつ効果的」と述べ、「それは、もちろん財政ファイナンスではない」と明言しています。8 月は再び「ヘリマネ」の妄想が膨らんだり萎んだり忙しい相場になりそうです。
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