FM 今週のポイント(5月23日)
*米国の6月利上げがマーケットの焦点に復活しつつあります。4月のFOMC 議事要旨では多くのFOMC メンバーが6月利上げを支持していることが判明しました。これまでマーケットでは、6月下旬には英国のEU 離脱の是非を問う国民投票を控えていることに加え、中国経済等の新興国不安も依然として燻っていることから、早期利上げはないだろうとの判断に傾いていたものと思われます。実際、ドル高是正に動き出したかと思われる米財務省の日本の円安政策への牽制姿勢を踏まえても、あるいは、トランプ氏の事実上の共和党大統領候補決定の経緯を見ても、早期利上げは難しいとマーケット参加者が判断したとしても不思議ではありません。先週末にかけてドル円相場は110 円台を回復しています。NYダウは6月利上げ懸念から調整気味の推移で、国内株式市場は円安に振れた割には大きな上昇を見ていません(日経平均株価は週間で324 円14 銭上昇)。
*もう一つの焦点が、政策発動です。先週末は伊勢志摩サミットの前哨戦となるG7会合が仙台で開催されました。マーケットでは消費増税延期を確定させるとともに、10 兆円規模の財政出動が早期に決定される根拠になるG7声明を期待していました。結果的にG7において世界経済の持続的成長を主導するとの認識を共有した一方、積極財政を訴える日米に対し、伝統的に財政規律を重んじるドイツなどの慎重姿勢が根強かった印象です⇒各国の認識は平行線をたどったもようで、政策協調への過度な期待が一部で膨らんでいた株式市場との認識の差は歴然です。もちろんサミットでの巻き返しも考えられますが、米国の新大統領が決まる前に全力での政策議論は難しいと考えられ、具体的・決定的な方向性が出ない可能性が高まりました。それでも、安倍首相は参院選(依然として衆参同時の可能性もある)に向けて、経済政策での加点が欲しいところです⇒消費増税の延期プラス10 兆円規模の財政出動は想定の範囲内です。
*今週の国内株式市場は依然として膠着感、様子見姿勢が強い状況が続くと思われます。政策発動期待で底堅いものの、6月の日米金融政策の見極めが重要になり(特に米国の利上げの有無)、ドル円相場が大きく動けないことから、日経平均株価の上値は重い展開が想定されます(1ドル115 円で17500 円を突破も)。現状の国内株式相場はドル円相場と相関が極めて強いことから為替市場に動因が無いと方向感が定まりません。特に2月以降大きく落ち込んでいるバリュー銘柄の行方はより為替相場に制約されています。先週も一時的にバリュー復活の兆しがありましたが、一部ファンドのアンワインドに過ぎなかったようです(バリューの買戻し&グロースの売却:利益確定)。サミット前後での政策的サプライズが無い限り、バリュー株の本格的リバーサルは無く、中小型内需グロース優位の展開が継続するものと思われます。
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