FM 今週のポイント(3月9日)
*先週末の日経平均株価終値は19000円に急接近しています。3月上旬の19000円トライは従来のコンセンサスに比べて1ヶ月早めです。一方、NYダウは足踏み状況が続き(週末は強めの雇用統計を受けて大幅反落)、18000ドル台を割り込んでいます。今まで日経平均株価がNYダウを上回ることは稀で長続きしませんでした(単なる絶対数値の比較ですが)→今回は上回っている時間帯が長く、格差も広がっています→割高の米国株を売って割安、出遅れの日本株をグローバルに買う動きが徐々に広がっている模様です。連日高値を更新して話題の医薬品株も米国同セクターの上昇率と比較すれば辻褄が合います(先週は医薬品セクターが7.83%上昇でセクター別上昇率ランキング首位)。割安、出遅れ物色が極まっている感のある国内株式市場ですが、グロー バルで同様の現象が起こっているわけです。日本の場合、公的年金(池の中の鯨)の存在が割安、出遅れ物色をより鮮明にしています。
*先週末の米国2月雇用統計は市場の想定を上回る好調さを示しました。非農業部門雇用者数は29 万5千人増加と市場予想の24万人を大幅に上回りました。失業率も前月比0.2%低下の5.5%まで改善しています。雇用統計の上ブレを受けて週末のNY株式市場は大幅に下落しました(NYダウ:278.94ドル、1.5%安)→FRBによる利上げが想定よりも前倒しになる可能性が大きくなったと懸念した為です。当面は17日からのFOMC会合でゼロ金利解除に対して「忍耐強く」等の文言が削除され、市場に対して利上げ準備に入ったサインを送るのかがポイントになります。ただしヘッドラインは好調ながら、平均時給の伸びは相変わらず低水準で(前年比2%増加:リーマンショック前は3.5%程度増加していた)、実際にFRBが利上げに対して前のめりになるのか依然として確信が持てません。
*仮に、早期利上げ観測が(6月のFOMC)浸透した場合、世界的に株式市場は一時的に大きな調整 局面を迎える可能性があると思われます。もちろん、日欧の異次元緩和が続き、世界的な金融緩和競争が途絶えるわけではなく、ベースとなる過剰流動性相場が終焉することではありません。ただし、世界的に物色の流れが大きく変わるものと考えられます(一時的な調整後の相場)。昨年6月以降、世界の景況感は減速を続けています(IMF世界成長率予想は3.2%から2.8%へ低下)→その裏返しとして過剰流動性拡大があるわけです。溢れ出したマネーは実体経済を敬遠して金融株式市場に流れ込んでいます(金利が大幅低下、株式大幅上昇)。株式市場に流れ込んだマネーも実体経済の減速傾向を織り込み、グローバル景気敏感セクターよりも内需ディフェンシブセクターを選好してきました。また、金利低下が極まる中でイールドハンターは安定した業績の裏付けのある高配当利回り株を債券の代替として選好してきました。米国が利上げに踏み出した場合、その物色の方向が変わるものと思われます。利上げできるほど米国の景況感が良いということはPER等から見て割高に買われているディフェンシブセクターよりも成長が加速しそうなグローバル景気敏感セクターの魅力度が高まる可能性があります。また、金利の上昇から高配当利回り株の魅力度が低下する可能性があります。米国の利上げが確信に変わる時→新たな収益機会の誕生です。
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