ブラジルの金融政策~今後の金融政策と為替相場の展望
- 政策金利は6.5%に据え置かれました。政治リスク後退で堅調なレアル相場を受け、様子見としました。
- 19年は緩やかな利上げに転じることで、インフレ率や景気が、より安定することが想定されています。
- レアル相場は、政治、インフレ双方のリスク後退で当面底堅く、その後は新政権の動向次第と考えます。
緩やかな利上げの下で安定したインフレ率を想定
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、10月30-31日のCopom※において、政策金利のSELIC◇金利を6.5%で据え置きました(全会一致)。3月の利上げ以来、据え置きは5会合連続となりました。
インフレ率は安定しています。9月のCPIは、総合は前年同月比+4.5%と、中銀の目標(+4.5±1.5%)の中心付近です。コアになると+2.9%と、目標の下限を下回っています。中銀は、19年から緩やかな利上げに転じ、19年末には8.0%になっていることを前提に、18年から19年にかけて+4.4%から+4.2%と、安定して推移することを想定しています。CPIの想定は9月の前回会合時のもの(+4.2%から+4.0%)と比べると上方修正されていますが、目標圏内での推移を想定していることは変わりありません。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
試される新政権の手腕
レアル相場は、米国で続く利上げや貿易摩擦の新興国経済への影響などが懸念される中で、厳しい環境に置かれてきました。ただし、年初からのレアル下落の一翼を担っていた政治不安が、選挙終了で取り除かれ、しかも、構造改革路線の継承を掲げたボルソナロ氏が大統領に当選したことから、当面は底堅く推移することが予想されます。
今後はボルソナロ次期大統領の政権運営が注目されます。中銀は構造改革の進捗が、インフレ安定、低金利維持のためには重要な要因と見ているため、金融政策の担い手という立場から、表には出さないものの、今回の選挙結果を前向きに受け取っているのではないかと推察します。ただし、ボルソナロ氏率いる社会自由党は議会では少数派であり、構造改革路線を積極的に推し進められるかは、現時点ではまだ不透明です。米金利上昇の影響については半ば織り込まれたと見られることから、市場の注目は国内要因へ回帰していくと思われます。
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