9月の米国雇用統計~年内の追加利上げは?
- 9月NFPは前月比+13.4万人と少なめでしたが、失業率が3.7%とほぼ半世紀ぶりの低水準でした。
- こうした中でも労働参加率は過去と比べて高いとは言えず、雇用の増加余地はまだ大きいと言えます。
- 労働需給ひっ迫で賃金が順調に伸び、インフレ率上昇傾向が確認されれば、年内利上げの公算大です。
雇用の増加余地はまだ大きい
5日、米労働省が発表した9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+13.4万人でした。やや少なめでしたが、8月が速報の同+20.1万人から+27.0万人へ、7月も改定値の同+14.7万人から+16.5万人へと、計8.7万人上方修正されました。月当たり20万人程度の雇用増加ペースが維持されています。
一方、失業率は3.7%(前月比-0.2ポイント)でした。69年12月(3.5%)以来、ほぼ半世紀ぶりの低水準でした。失業者数が596.4万人と、00年12月以来約18年ぶりに600万人を割り込み、労働需給がひっ迫している様子がうかがわれます。今後も就職活動を始める人が出てくると見込まれます。労働参加率(労働力人口÷生産年齢人口〔16歳以上人口〕)は現在62.7%と、過去最高(67.3%、00年2月)に対して4.6ポイント下回っています。これは、現在の生産年齢人口(2億5829万人)対比では1188万人であり、まだ数百万人規模で雇用が増加する可能性は否定できません。
インフレ率押し上げ効果は大きくないが・・・
民間企業時間当たり平均賃金(以下、賃金)は前年同月比+2.8%と、8月からは0.1ポイント低下しましたが、順調に伸びています。これまで、過去に比べて低いと言われながらも2.5%程度の伸びが長らく続き、雇用増加のすそ野も広がったことで、徐々にインフレ率に反映されています。
米金融当局が金融政策の判断で参照するPCE価格指数は、コア指数が前年同月比+2.0%と、政策目標である+2%を、最低水準とはいえ、トレンドとしてもクリアしました。賃金の伸びはリーマン・ショック以前の景気のピークに当たる07年(前年比+3.3%)と比べるとまだ低く、インフレ率押し上げ効果は大きくないと見られます。しかし、この程度伸びでもある程度続けば、インフレ率がさらに0.2~0.3ポイント押し上げられてもおかしくありません。実際には横ばいでも方向性が確認されれば、年内にもう1回0.25%利上げされる公算が大きいと考えます。
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