ブラジル、10会合連続利下げ~金融政策、レアル相場の展望
- ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、政策金利を全会一致で0.5%引き下げ、7.0%としました。
- インフレ率底打ち、景気持ち直しを背景に利下げ幅が圧縮され、金融緩和は終盤に近付いています。
- 通貨レアルは安定局面に入ったと思われますが、政府の改革が進めば選好されると思われます。
利下げはあってあと1回?
5-6日にCopom※が開かれ、政策金利のSELIC◇金利が7.5%から7.0%へと全会一致で引き下げられました。利下げは10会合連続です。インフレ底打ち感や、景気回復を受け、利下げ幅は前回の0.75%から0.5%へ圧縮されました。
CPIは、8月の前年同月比+2.46%を底に緩やかに上昇し、10月は+2.70%でした。また、コア(試算値)も同様に切り返し、3カ月ぶりに+4%台に乗せました。これは、食品・エネルギー以外の幅広い品目(全体の約75%)の物価が底上げされていることを意味し、金融緩和が終盤に近付いていることが示唆されます。中銀が実施しているサーベイによると、CPIは18年には前年比ベースで+4%台を回復し、19年にも利上げが再開されると予想されています。
一方、目先の政策金利については、現在政府が進めている年金などの改革の進展度合いが影響すると思われます。改革が進展するならば、年明け後に小幅な追加利下げ(+0.25%)に踏み切る可能性もあります。ただ、いずれにしても利下げは打ち止めの方向にあると思われます。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
政治動向に影響を受けやすい局面に
レアル相場は、金融政策との関係が強く、緩和局面では上昇しやすい傾向が過去に見られ、今回もそうでした。金融緩和が終盤に近付き、相場は安定局面に入ってきたと思われます。
今後は、改革の進展度合いや、18年10月の大統領選に向けた世論の情勢など、政治動向に影響を受けやすくなると見られます。改革が進展すれば、レアルが選好される局面があると思われます。
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