長期的に魅力あるインドへの株式投資
- インド株式が史上最高値を更新しています。高成長と企業業績拡大への期待が高まっています。
- モディ政権による構造改革が着実に進み、事業環境改善による海外からの投資増加が期待されます。
- インドは、人口増加、年齢・所得階層構成から、新興国でトップクラスの成長が続くと予想されています。
高成長期待、政治の安定など追い風多い
インド株式市場が堅調です。代表的株価指数であるSENSEX指数は、6月20日日中に史上最高値の31,392.53を記録しました(終値は前日比小幅下落)。
企業業績は好調が予想されています。予想EPSは17、18年と20%程度の増加が予想されています。予想PERが19倍とやや高めですが、企業業績と同時に、インドの大きな成長余地も含め、経済に対する中長期的な期待も込めた投資資金が流入していると思われます。
インドの実質GDP成長率は、15年から中国を上回っています。17年も、IMFの予測では若干の減速が予測されているものの、+7%台となっています。2020年代前半には+8%台に乗せ、現在の+6%台から+5%台へ鈍化すると予想されている中国と対照的です。新興国全体では+4~5%となっており、インドが新興国でトップクラスの成長を続けると予測されています。
モディ政権による構造改革路線が着実に成果を挙げつつあり、海外からの投資が増加するという期待も、株式市場へ好影響を与えていると思われます。7月にはGST(財・サービス税)施行が予定されています。インド国内の間接税体系が統一され、経済活動の非効率性が改善され、成長力が押し上げられると見込まれています。政策面での成果を上げていることから、モディ政権の支持率は70%前後の高水準を維持しており、政治の安定性の高さも好感されていると思われます。
成長力秘める人口・所得層構成
インドが高成長を続けると予測される最大の要因は人口面にあります。国連の予測によると、インドの総人口は2070年まで増加し、2015年時点の13.1億人から17.5億人になると予測されています。また、生産年齢人口比率☆が2040年まで上昇すると予測されており、2005年にピークアウトしたOECD加盟国はもちろん、アジア諸国(除く日韓)の2015年と比べても、抜きん出て労働力の拡大余地が大きく、成長性が押し上げられやすい構造をしていることが分かります。
☆生産年齢人口比率=生産年齢人口÷総人口(%)
労働力増加と高成長があいまって、インド国民の生活水準は、今後大きく向上すると予測されています。高成長が実感できる局面として、中間層の割合が拡大していく局面が挙げられます。これまでは、中国の中間層拡大が注目されていましたが、今後はインドの中間層の拡大が著しく、中間層人口は2020年に中国を抜き、2030年は、中国の7.0億人に対し、インドは9.6億人とさらに差が拡大します。
中間層は、家電製品や自動車など、耐久財消費の拡大が最も目立つ所得層であり、高成長を促しやすい特徴があります。中国は2000~2010年にそれが顕著に見られましたが、今後は高所得層の割合が増加していくことで、よりサービス消費の割合が高くなると同時に、成長率は鈍化していくと見込まれています。これに対して、インドはこれから、中国が経験した高成長局面を迎えると考えられ、企業活動はそれを享受する形で利益水準を拡大させ、株価は押し上げられていくと期待されます。インドの高成長を享受する手段として、インド株式への投資は、長期的に魅力があると思われます。
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