据え置き続く豪政策金利~金融政策と豪ドル相場の展望
- 政策金利は1.5%で据え置きでした。インフレ率は引き続き低いとの判断で、様子見が続けられました。
- ただし、CPIトリム平均はインフレ目標に近づき、将来的に利上げが視野に入ることも否定できません。
- 豪ドルは、米利上げが上昇を抑制する一方、景気の底堅さが下支えとなり、当面安定しそうです。
金融政策の次の一手は「利上げ」?
RBA(Reserve Bank of Australia、オーストラリア〔豪〕準備銀行)は、本日定例理事会を開き、政策金利であるキャッシュレートを1.5%に据え置きました。16年8月に利下げして以来、9会合連続の据え置きです。
インフレ率は低水準ながら上昇傾向にあります。RBAが注目しているCPIトリム平均(価格変動幅の中央値から上下35%分の品目を算入)は、17年1-3月期が前年同期比+1.9%と、インフレ目標(+2~3%)に近付いています。一方、参考値となる月次指標であるMI-CPI(上図中※参照)は、5月は前年同月比+2.8%と上昇傾向にあり、インフレ率のさらなる上昇が示唆されます。将来的に利上げが視野に入ってくることも否定できない情勢です。しかし、RBAは米国の利上げを注視する必要があるとしており、当面は様子見が続きそうです。
対米金利差と国内景気との引っ張り合い
豪ドル相場は、米国の利上げで対米金利差が縮小していることから、上昇が抑制されています。対円は、動きは小さいものの、米ドル安・円高を受け、昨年末からは下落しています。一方、商品市況を代表するCRB商品指数※は軟調で、本来は豪ドル安要因ですが、商品市況に対する豪ドルの割安感が残り、大きな下落圧力にはなっていません。
対米金利差は今後も縮小する公算が大きく、豪ドルにとって重しとなる一方、景気が底堅いことで、「次の一手は利上げ」との見方が今後強まることも考えられ、こちらは下支えとなりそうです。結局、豪ドルは、対米ドルでは当面安定することが見込まれます。対円は米ドル・円相場に影響を受けますが、年末にかけては緩やかなドル高傾向が続くと予想され、底堅く推移しそうです。
※CRB商品指数:国際商品市況の動きを示す代表的な指数。米英の先物市場に上場する19品目で構成されています。
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