ムーディーズが中国の長期債務格付けを引き下げ
- 24日、大手格付会社ムーディーズが、中国の長期債務格付けをAa3からA1へと引き下げました。
- ここ数年の成長性低下や、債務残高の対名目GDP比の上昇傾向が格下げの理由とされています。
- 経済の実情にほぼ沿った評価と見られ、市場に対する影響はほとんどありません。
89年以来の格下げ
大手格付け会社のムーディーズは24日、中国の長期債務格付けを従来のAa3からA1へと引き下げました※。同社は、16年3月に同格付けの見通しを安定的からネガティブ(近い将来に格付けが引き下げられる可能性が高いこと)へと変更していました。格下げは、天安門事件(89年)後の海外投資減少を警戒した時以来のことです。
ムーディーズは今回の格下げの理由として、経済面では、ここ数年で中国の実質GDP成長率が低下していること(16年は+6.7%、天安門事件〔89年〕後の景気減速〔90年、+3.9%〕以来の低水準)を挙げています。また、公共投資の増加等による、一般政府(中央・地方政府+社会保障基金)債務残高の対名目GDP比上昇も理由として挙げています。IMF(国際通貨基金)は、同比率は16年で46.2%、22年には58.9%に上昇すると予想しています。
妥当な評価、新興国の中では高い信用力維持
中国政府は格下げに否定的なコメントを出していましたが、経済の実情にほぼ沿った評価と思われます。市場への影響はほとんどありませんでした。
中国の政府債務格付けは、新興国では高い部類にあり、高い信用力を維持していると見られます。成長率についても、中国共産党が第13次5カ年計画(16~20年)で掲げた「+6.5%以上」を今のところ満たしています。また、中国当局は、内需主導の成長を目指す中で、ある程度の成長性低下は否定しておらず、さらなる格下げにつながる可能性は低いと思われます。ムーディーズは格付け見通しを安定的としています。
アムンディでは、18年にかけて中国の実質GDP成長率は緩やかに低下すると予想しています。これは、経済構造の変化やインフラ投資増加による政府債務増加を考慮しています。したがって、信用力のさらなる低下には必ずしもつながらないと思われます。
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