米大統領選挙の結果と今後の政策、市場展望

2016/11/14
  1. 8日の米大統領・議会選挙では、共和党のトランプ候補が当選。上下両院共、共和党が制しました。
  2. 減税+インフラ投資拡大が米国景気にはプラスに働き、雇用、所得、インフレ率を押し上げそうです。
  3. 商品市況、為替相場など外部環境が落ち着く中、景気対策効果で景況感改善の継続が期待されます。

政権安定へのカギ握る議会への対応

8日に実施された米大統領選挙では、共和党のドナルド・トランプ候補が勝利し、第45代米国大統領に就任(17年1月20日)します。トランプ候補はフロリダ、オハイオなどの激戦州を軒並み制したほか、中部のミシガン、ペンシルバニアといった民主党が優位と見られていた州も奪取しました。

また、議会選挙では上下両院で共和党が過半数を制しました。ねじれ解消による政権の安定化が一部で期待されています。ただし、トランプ次期大統領が掲げる政策に反対する共和党議員も少なくなく、今後、議会をどこまで説得できるかが政権安定へのカギとなりそうです。

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※11月11日日本時間の午前時点調べ

経済政策は米国景気にプラス内要因が今後の景況感を押し上げ

トランプ氏が掲げる経済政策は大きく①減税、②公共投資拡大、③移民制度の厳格適用、④不利益な貿易制度の見直し、に分けられます。

減税は、所得・法人税合わせ、10年で5~6兆ドル規模と言われており、オバマケア廃止で歳出を削減しても、5兆ドル程度財政赤字が積み上がると見込まれます。移民と貿易についてはイメージ先行の不透明感が増幅している感があるので、拡張的な財政という面で見れば、ひとまず景気にはプラスに働くと考えられます。

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当面の市場への影響

開票時間と重なった日本では、トランプ候補優位の報を受けて日経平均株価は急落し、前日比-5.4%で終えました。しかし、トランプ氏が勝利を宣言した午後4時頃から、為替市場でドル高・円安傾向が鮮明化し、米国ではNYダウが史上最高値を更新、米国10年国債利回りは10カ月ぶりの2%台を付けました。一方、金価格は、9日日本時間ではリスク回避姿勢が強まり、一時1330ドル台へ上昇したものの、NY終値では選挙日前の水準へ戻し、週末には急落しました。

円滑な政権移行への期待から、ひとまずは株高、ドル高、金利上昇、金安の展開となりました。ただし、政策、議会運営、外交など、諸々の課題について不透明なことは変わりなく、当面は神経質な展開になることは否めないところです。

前述のとおり、トランプ氏の掲げる経済政策、特に拡張的な財政政策が実行されれば景気にプラスに働くため、株価には好影響、インフレ期待の増大で長期金利は上昇、ドルも底堅く推移しそうです。他の先進国も、こうした米国市場の動きを受け、株価は底堅く、金利も上昇基調になりやすいと思われます。

一方、新興国については、トランプ氏が保護主義的な政策スタンスを掲げているため、開票当日は通貨が対ドルで軒並み下落しました。特にメキシコペソの下落は突出しました。ただし、一方的に米国が有利になるような貿易政策になる可能性は低いと見られ、政策の方向性が見極められれば、むしろ米国景気の活発化の恩恵を受けることが期待されます。

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