ECB理事会~年末に向け政策変更はあるか?
- 各種政策金利、資金供給手段を前回の会合から据え置きました。引き続き政策効果を見極めます。
- 経済見通しは前回発表からごく小幅ながら下方修正で、現行政策の期限を延長する可能性があります。
- 追加緩和の必要性は現時点では低いと見られ、ユーロ相場は当面落ち着いた動きになりそうです。
資産購入の着実な達成を模索か
9月8日、ECB(欧州中央銀行)の定例理事会が開かれ、各種政策金利と資金供給手段は現行で据え置かれました。
資産購入プログラム(APP)の着実な達成が課題になっています。購入残高は4~7月はほぼ800億ユーロ前後でしたが、8月は約600億ユーロにとどまりました。国債の購入が不十分であったためです。購入上限ルールや、ECBへの出資比率に応じた割り当てを緩和するなど、資産購入の着実な達成を模索する動きが年内に出てくるかもしれません。
APP延長の可能性も
今回は、ECBスタッフによる経済見通しが発表されました。実質GDP成長率、HICP上昇率共に、全体的にはごく小幅ながら下方修正されました。インフレ率は18年にかけて目標(+2%弱)に達するとの見通しですが、現行のAPPの期限は17年3月となっており、次回発表(12月)の見通しの内容次第では延長される可能性もあります。
銀行貸出は緩やかな増加傾向続く
マイナス金利、量的緩和の効果は、徐々にですが、銀行の貸出増加を促しています。7月時点で前年同月比+1.3%と、約3年ぶりにプラスに転じた15年5月以降で最大のプラス幅となりました。
企業向け貸出の増加が鮮明です。16年1月時点では、家計向け貸出の前年同月比+1.9%に対し、企業向け貸出は+0.5%にとどまっていました。しかし、7月はそれぞれ+2.0%、+1.3%となっています。企業の資金需要増加は、景気を加速させる一因でもあるため、ユーロ圏経済にとっては前向きな動きといえます。
Brexit後の下落を回復し、当面は落ち着いた動きへ
ユーロ相場は、Brexit(英国のEU離脱)が決定した直後、英ポンドの大幅下落に引きずられる展開となりましたが、ユーロ圏経済にはプラスという評価もあり、現時点では、対ドル相場は決定以前の水準をおおむね取り戻した水準にあります。
今後のユーロ相場は、追加金融緩和の有無の影響を受けると見られますが、現時点でその必要性は低いと見込まれます。また、期限延長については半ば織り込まれているとみられ、当面は落ち着いた動きとなりそうです。米国の早期利上げ期待が後退したことはユーロ高要因ですが、年末もしくは来年早々といったように、利上げが近付いていることに変わりはないとの認識が大勢の中、相場を大きく動かす力にはなりにくいと思われます。
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