英金融政策委員会と英ポンド、英国債相場の展望
英中銀、8月の追加緩和濃厚
7月13-14日、イングランド銀行(以下、英中銀)がMPC(金融政策委員会)を開き、政策金利0.5%、APP(資産購入プログラム)上限額3750億英ポンド(以下、ポンド)を据え置きました。
市場では、今回の委員会で利下げを実施し、APP増額も有り得るとの見方が大勢でしたが、Brexit(英国のEU〔欧州連合〕離脱)決定後の経済情勢が不明確なため、次回会合(8月3-4日)へ判断が持ち越された形です。なお、8月4日はインフレーション・レポート(四半期毎)が発表される予定であり、景気・物価見通しの内容を確認後、追加緩和が実施されると予想されます。
インフレーション・レポートでは物価の下方修正の度合いがカギ
インフレーション・レポートでは、インフレ率、実質GDP成長率、失業率などの予想が発表されますが、なかでも金融政策と最も強く関係してくるのはインフレ率です。
英中銀は、前々回(2月)から前回(5月)のレポートにかけて、インフレ率目標の+2%を回復する時期を18年第1四半期から第2四半期へと後ずれさせており、今回はBrexitによる景気押し下げによって、さらにそれが遅れるとの予想が大勢です。英ポンド安がインフレ期待を押し上げるという見方もありますが、それは短期的な影響と見られます。
英ポンド相場は神経質な展開続くも、割安感は強い
ポンド相場は、6月23日のBrexit決定直後から急落し、一時1985年6月以来の1ポンド1.3米ドル割れとなりました。しかし、7月11日、メイ内相の首相就任が決まり、政局混乱の早期収拾が好感され、やや値を戻しています。ただし、EUとの離脱交渉の行方は依然不透明であり、当面は神経質な展開を余儀なくされそうです。
対円相場は、一時1ポンド130円を割り込みましたが、ポンドの対ドル相場の回復とドル高・円安とで、足元は140円台を回復しています。景気、金利、物価等からポンドの割安感は強く、市場心理が落ち着けば上昇余地も出てくると思われます。
世界的な低金利長期化観測から債券は堅調
英国債相場は堅調です。Brexitの影響で世界経済の先行き不透明感が強まったことが背景と見られます。6月27日、大手格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)社とFitch Ratings(フィッチ・レーティングス)社が英国の格付けを引き下げましたが、影響は限定的でした。
また、普通国債以上に物価連動国債が堅調です。世界的な低金利長期化観測に対し、ポンド安が短期的にせよインフレ率を押し上げるとの見方が強まったためです。ポンド安が実際のインフレ率に反映されるのはもう少し後であり、物価連動国債の相場は底堅い展開が続きそうです。
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