豪州金融政策(2019年11月)~豪ドル相場の展望
- 政策金利は0.75%で据え置きでした。景気下振れ回避のための金融緩和はひとまず一巡で様子見です。
- 豪州景気は景況感の低下で先行き不透明感が残っていますが、底堅い個人消費が下支えしています。
- 利下げの景気刺激効果が表面化し、市場のリスク選好が高まれば、豪ドルに追い風と期待されます。
ひとまず様子見
本日、オーストラリア〔豪州〕準備銀行(以下、RBA)が定例理事会を開き、政策金利であるキャッシュレートを0.75%に据え置きました。景気の下振れを回避すべく、6月、7月、10月と3回の利下げ(いずれも0.25ポイント)が実施されましたが、今回はその効果の見極めのため、ひとまず様子見となりました。
この間、おおむね良好な雇用環境から、緩やかながらも賃金が増加ペースを高め、個人消費が底堅く推移しました。これを受け、CPI(消費者物価指数)がRBAのインフレ目標を依然下回りつつも、方向は上向きになってきました。また、個人消費に対する主な先行き不安材料あった住宅市況の低下にも歯止めが掛かってきています。一方、企業や消費者の景況感は、一時下げ止まりの動きも見られましたが依然として不安定であり、景気の先行き不透明感が残っています。したがってRBAも、状況によっては追加緩和を辞さない姿勢を維持しています。
景気刺激効果の表面化を待つ段階
豪ドル相場は、今年3回目の利下げが実施された10月1日、対円相場で一時1豪ドル71円台を付けましたが、一方で景気下振れリスクも減退したと見方から、その後は買い戻しが優勢となり、10月下旬には75円台まで上昇しました。
これまでの利下げで、景気刺激効果が表れるのは年末以降になると見込まれます。景気下振れ懸念で追加利下げ観測が強まるリスクは依然としてあるため、このまま豪ドルの上昇傾向が続くにはまだ力不足です。しかし、景気実態の改善が現実になってくれば、豪ドルにとって支援材料になると思われます。また、世界的に金融緩和が進められている中で、グローバルな面でも景気下振れリスクは徐々に減退していると見られます。景気底打ち期待で市場がリスク選好を高めると、資源国通貨の一環として豪ドルが注目され、投資資金を集めて上昇する展開も期待されます。
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