ユーロ圏の7月景況感について
- ユーロ圏の7月景況感指標は全般的に弱い動きです。7-9月期の景気回復に黄信号が灯っています。
- 製造業の弱さは、世界貿易の減速に加えて在庫が積み上がり、減産を余儀なくされている面もあります。
- 世界的な金融緩和傾向から企業景況感は次第に改善し、ユーロ安傾向に歯止めが掛かると思われます。
際立つ製造業の弱さ
ユーロ圏の7月景況感は全般的に弱い動きでした。24日にIHS Markitが発表したPMI(総合)は、前月比-0.7の51.5と3ヵ月ぶりに低下しました。また、25日にCESifoが発表したドイツ企業景況感指数(ifo指数)は同-1.8の95.7(2015年=100)でした。現況指数が同-1.7の99.4、期待指数が同-1.8の92.2でした。特にifo指数は、欧州債務危機でユーロ圏が景気後退に陥った2011年後半~2013年前半で推移していた水準に低迷しており、7-9月期の景気回復に黄信号が灯っています。
一方、ZEW指数※(期待)は前月比-0.1の-20.3、センティックス経済信頼感指数☆(総合)は同-2.5の-5.8と、双方とも低迷しており、市場参加者の見通しも悲観色がやや強まっています。企業の景況感は製造業の弱さが突出し、サービス業はおおむね底堅く推移しています。製造業の弱さが際立っているのは、世界貿易の減速が要因ですが、製品在庫が積み上がり、減産を余儀なくされている面もあります。特に、ドイツが深刻な状況にあると見られます。
※ZEW指数:ドイツの調査機関ZEW(欧州経済研究センター)がアナリスト、機関投資家、市場関係者に対するアンケート調査を基に算出
☆センティックス経済信頼感指数(本文では「指数」に省略):ドイツの調査会社センティックス社が個人投資家、機関投資家に対するアンケート調査を基に算出
企業景況感の先行き期待回復でユーロも持ち直しか
企業景況感は、当面は製造業の弱さが足かせとなり、低迷を余儀なくされると見込まれます。景気に対する不安感から、ECB(欧州中央銀行)が金融緩和の姿勢を強め、ユーロは当面低位でもみ合うと予想されます。
企業景況感の回復は、9月にも期待される金融緩和政策以降になると見込まれます。そうした中で、期待を示す指標が上向いて来れば、景気先行き回復への期待も高まり、ユーロが持ち直す局面が出てくると考えます。
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