ブラジルの金融政策(6月)~今後の金融政策と市場展望
- 政策金利は6.5%で据え置きでしたが、インフレ率想定が下方修正され利下げの可能性が出てきました。
- ボルソナロ政権が進める構造改革は今のところ着実に進捗しており、これも利下げ期待を高めています。
- 構造改革と利下げが一体となればブラジル経済が底上げされ、通貨や株価に追い風になると考えます。
想定を利下げに転換
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、18-19日のCopom※で、政策金利のSELIC◇金利を6.5%に据え置きました(全会一致)。18年3月での利下げを最後に、10会合連続、1年3ヵ月間据え置かれています。
中銀は会合毎に経済見通しと政策金利の想定を発表しており、今回初めて年内利下げの想定となりました。前回会合(5月7-8日)では、年内据え置き、2020年末までに7.5%への利上げを想定していましたが、2019年末を5.75%、2020年末を6.5%と下方修正しました。インフレ率の想定を2019年を前回会合での+4.1%から+3.6%へ下方修正しました。ただし、2020年については同じく+3.8%から+3.9%へ上方修正しました。
ボルソナロ政権が進める構造改革は、目玉である年金改革法案成立の可能性が、不透明感を残しつつも高まってきています。中銀は構造改革の実現が利下げの条件と声明文で再三主張していますが、現在の流れは、金融緩和への期待を高めるものと思われます。
旧弊打破が投資環境を改善
通貨レアルは対ドル、対円双方で底堅い展開です。現在の構造改革進捗への期待と利下げ観測は表裏一体であり、現時点では、利下げ期待がブラジル経済の底上げにつながるとの見方から、むしろレアルを下支える方向に作用しています。
ブラジル経済底上げ期待によって、株価が上昇基調を強めています。代表的株価指数であるボベスパ指数は、終値で初めて10万ポイントを超えました。これまで、インフレ体質の経済構造と根強い政治不信が株価の頭を抑えていましたが、構造改革進捗と利下げが一体になれば、株価上昇が促される可能性が高まり、それによって経済見通しが明るくなり、レアルに追い風になると期待されます。
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