来週の金融市場見通し(2025年5月26日~2025年5月30日)

2025/05/23

■来週の見通し

注目された日米財務相会談では、「為替の水準に関する議論はしていない」と伝わり、米国が日本に対して円安の是正を求めるとの思わくが後退しています。他方、格付け会社ムーディーズが前週末に、米国債の信用格付けを最上位の「Aaa(トリプルAに相当)」から「Aa1(ダブルAプラスに相当)」に1段階引き下げたことを受けて、米国の財政悪化への懸念が広がっています。来週は、日米関税協議に加え、米個人所得・個人消費支出など内外の経済指標も確認しながら方向感を探ることになりそうです。

 

◆株価 :エヌビディア決算に注目

今週の日本株は、やや軟調な動きとなりました。円高が進行したことや米国の財政悪化懸念が強まったことを受けて、売りが優勢となりました。 

来週は、28日(日本時間29日)に予定されているエヌビディア決算発表が注目されます。同社の決算が良好な内容になると、東京エレクトロンなどの国内の半導体関連株を押し上げることが予想されます。日経平均株価は、半導体関連株が占める割合が高いことから、半導体株の動向は国内株式市場を動かす重要な材料になるとみられます。また、今週末以降の開催が予定されている日米関税協議も注目されます。交渉は難航するとみられますが、仮に米国が課している自動車関税の撤廃・縮小などで合意できれば、市場は好感することが予想されます。

 

◆長期金利 :居所を探る

今週は、ムーディーズによる米国債の格下げに加え、トランプ減税の恒久化などの大型法案が米財政赤字の一段の拡大につながるとの懸念から米長期金利が上昇したこと、また20年国債入札が不調な結果となったことを受けて、国内の長期金利は1.5%半ばまで上昇しました。国内の財政拡張への警戒も国内金利を押し上げました。

来週は、不安定な動きの中、居所を探る動きとなりそうです。国内でも国債増発への警戒が広がっていることに加え、超長期債の需給バランスが崩れており、積極的な買いが入らないことから、国内金利は低下し難くなっています。もっとも、米国による円安是正要求への警戒が後退し、日銀が利上げを急がない姿勢を示す中、40年国債入札が無難な結果になると、需給不安が後退し、一段の金利上昇が限定的となることも想定されます。

 

◆Jリート :下値目途を探る

今週のJリート市場は、日米長期金利の上昇が継続していることが重しとなり小幅に下落しました。また、毎月分配型投信の決算に伴う換金売りも下押し圧力になったと思われます。今週末の分配金利回りは5.102%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)でした。

来週は、日米長期金利や日米通商協議の動向を睨みながら、上値の重い展開になることを想定しています。長期金利が再び1.5%を超える水準まで上昇しており、年初来高値を更新する可能性もあり、Jリート市場の下押し圧力が継続しそうです。また、日米通商協議が難航すると投資家心理が悪化することが見込まれます。一方、日銀が利上げに慎重な姿勢を示していることや、5%程度の予想分配金利回りに着目した一定の買いが引き続きJリートを下支えすることが期待されます。

 

◆為替:方向感見定めにくい

21日の日米財務相会談において、円安是正が議題になるとの観測から、ドル円は22日にかけ142円台後半まで下落しました。しかし、同会談において為替レートは市場で決定されるべきとの認識が再確認され、また、為替水準についての議論がなかったことから、ドル円は一時144円台まで上昇しました。とはいえ、米国の財政悪化への懸念は大きく、ドル円の上値は限定的でした。

来週のドル円は、上値は限定的とみられるものの、方向感の見定めにくい展開となりそうです。今週末以降に開催が見込まれる日米関税協議の行方は不透明であり、ドル円相場は神経質な動きになると想定されます。また、同協議において、為替について議論され、円安是正を求められる可能性も否定できないことから、ドル円の上値は重そうです。

 

◆米国株 :上値の重い動きか

今週の米国株は、下落しました。先週、大手格付会社が米国債の格下げを発表したことや米国で大規模な減税法案の成立の可能性が高まったことを受け、米長期金利が上昇したことが相場の重しになりました。

来週は、上値の重い動きが予想されます。減税法案が米下院を通過し、実現の可能性が高まったことで、米財政の悪化懸念が強まり、米長期金利は高止まっています。29日に公開される5月の議事要旨で、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに慎重なことが明らかになると、一段と米金利が上昇し、株価の上値を抑える可能性があります。ただし、最近発表されている米経済指標は市場予想よりも好調な内容が多く、景気悪化懸念が和らいでいることは好材料です。半導体関連株は、エヌビディアの決算発表を受け、激しい値動きになる可能性があります。

 

 

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(5月) 5月30日(金)発表

4月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比3.4%上昇と前月(同2.4%上昇)から伸びが大きく拡大しました。2024年度から開始された東京都の高等教育無償化による物価下押し効果が一巡したほか、食料品価格の高騰が続きました。

5月の東京都区部・コアCPIは高い伸びが続く見込みです。政府による電気・ガス代の補助金の終了を受けエネルギー価格が上昇するほか、食料品や外食を中心とする値上げが続くと予想されます。

 

米個人所得・個人消費支出(4月) 5月30日(金)発表

3月の米個人消費支出(PCE)は前月比0.7%の増加となりました。トランプ政権下の関税引き上げを見越した駆け込み需要が消費を押し上げたとみられます。また、PCE総合価格指数は前年比2.3%、食料とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同2.6%の上昇と、ともに前月から伸びが縮小しました。

4月のPCEは前月比0.2%増程度、総合価格指数は前年比2.2%、コア価格指数は同2.5%程度の上昇が想定されます。トランプ政権下での関税政策に対する懸念に起因する消費者マインドの悪化が、実際の消費活動に波及するかという点が注目されます。

 

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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