中国の「クジラ」は相場を支えられるか?
今週の国内株市場ですが、ギリシャ問題への警戒感が高まったことで、日経平均は前週末比で600円に迫る大幅下落でのスタートとなりました。前週は2000年4月のITバブル時の高値更新を演じ、その急騰前の水準に戻ったような格好ですが、その後は持ち直しています。いずれにしても値動きは荒っぽいです。
値動きが荒っぽいといえば、中国株市場も軟調な動きが目立っています。最近はこのコラムでも中国をテーマにすることが増えていますが、やはり直近も中国絡みでちょっとした動きがありました。具体的には、前週末に利下げの実施が発表されたことと、今週に入って公的年金基金による株式運用を認める方針が明らかになったことの2点です。
利下げの実施については、中国人民銀行(中銀)が昨年11月に2年4カ月ぶりとなる利下げを発表して以降、今年の2月、5月と次々に利下げを繰り返し、今回(6月)で4回目になります。これまでの中国株市場は利下げを機に上昇基調を強めてきたのですが、今回の利下げは前回の実施から日が浅いせいもあり、「株価が下がってきたから緊急的に実施したのでは?」感が否めず、中国当局が後手に回った印象が強いです。
もちろん、利下げによって融資や設備投資を拡大させて景気を支えるねらいがありますが、中国経済の課題が「投資や生産能力の過剰」であるため、ねらい通りに行きにくいと考えられます。これまでのところ、株高以外に利下げの目立った効果は見られていません。
また、今週29日(月)には中国の国営メディアを通じて、地方政府が管理する公的年金基金に株式での運用を認めることを検討していると報じられました。もし、これがOKとなれば、多額の資金が中国株市場に流入することになります。日本でも、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など、いわゆる「クジラ」による運用の株式比率を高めたことが日本株上昇に貢献してきた面がありますので、中国の「クジラ」による株買い観測は株価対策としては効を奏する可能性がありそうです。中国株市場が落ち着きを取り戻すきっかけになるかもしれません。
とはいえ、これまで日本株が上昇してきたのは、クジラの買いだけでなく、企業の業績期待やコーポレートガバナンスの強化など、「買われる」側の銘柄企業に対する評価が高まったことも重要なポイントになります。
中国株市場に上場する企業の多くは国有企業(国営企業)ですが、国営企業の改革はここ最近の歴代政権の主要なテーマであり、なかなか改善が進まない事項でもあります。今回のクジラ買い方針が、単なる株価対策ではなく、国営企業改革のきっかけにできるかが、結果的に中国株市場の継続的な上昇につながっていくと思われます。
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