モヤモヤ感の残る国内GDP

2015/05/22

今週の国内株市場ですが、日経平均は19日(火)に再び節目の2万円台を回復し、以降も15年ぶりの高値を更新するなど、上昇基調を強めています。先月(4月下旬)にも見られたように、日銀の金融政策決定会合を前に追加金融緩和への思惑による、いわゆる「日銀プレイ」の可能性があるほか、株価上昇のピッチもやや駆け足でもあるため、その反動には注意が必要です。

一方、実体経済の面では今週20日(水)に1-3月期GDPの1次速報が発表されました。その結果は実質(前期比)で+0.6%でした。事前の市場予想の中心が+0.4%でしたので、一応は良好な結果だったと言えそうです。ただし、その中身を見ると、「予想を上回ったけれど、数値を押し上げた要因が在庫増加のため、あまり評価はできない」という見方もあるようです。

また、今回のGDPで注目されていた具体的なポイントは消費と設備投資の回復度合いです。

GDP内訳での民間消費は前期比+0.4%となり、予想(+0.2%)よりも強かったわけですが、伸び率そのものは前期(2014年10-12月期)と同じでした。国内の消費関連の経済指標(実質賃金や家計の消費支出など)が冴えなかった割には頑張った結果と捉えることもできる一方、春節の時期による訪日外国人による「爆買い」の期待があった割にはあまり伸びていないと考えることができます。そして、「さすがに今回はプラスだろう」と思われていた設備投資については前期比+0.4%で、4四半期ぶりにプラスの結果となったものの、予想(+0.8%)は下回っています。

つまり、1-3月期GDPの結果はプラスに寄与すると思われた消費と設備投資がさほど貢献しておらず、「悪くはないけど、良くもない」モヤモヤ感が残る結果と言えそうです。そのため、景況感が株式市場を引っ張っていくシナリオは描けそうになく、次(4-6月期)への警戒感が続く中、追加金融緩和や景気対策などへの期待感が先行していく相場展開がメインとなりそうです。

 

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楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
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