「あの頃」との比較
9月入りしてからの日経平均の推移は概ね堅調と言えます。今週11日(木)には15,900円台に乗せる場面もあり、ようやく(?)節目の16,000円台や昨年末の16,300円の水準も射程圏内に入ってきた印象です。TOPIXについては既に年初来高値を更新しています。
1ドル=106円台後半まで円安が急進行してきたことを背景に値を戻してきた格好ですが、さらなる上値追いについて、昨年末から年初の「あの頃」との状況の違いを整理してみたいと思います。
まずは、米国10年債利回りです。足元は2.5%まで利回りが上昇してきましたが、年末年始は3%が意識される水準でした。当時のドル円は105円台の前半水準でしたので、日米の利回り格差という面では足元の方が円安は進んでいます。堅調な米国経済による早期利上げ観測に加え、ウクライナ情勢の長期化による欧州経済の悪影響や、この後にも登場しますが、日本経済の減速警戒などもドル高円安を加速させている面がありそうです。
次に取引のボリュームです。東証1部の売買代金は、年末年始の前後3営業日の平均で約2兆3,200億円でしたが、とりわけ年末にかけての上昇局面では3兆円近くになる日もありました。一方で、足元の売買代金は2兆円を割る日がほとんどで、取引の盛り上がりがイマイチな中での上昇と言えます。今週はリクルートホールディングスの上場日が10月16日に決まりましたが、この他にも、すかいらーくの再上場が10月9日に控えているほか、LINEなども上場予定となっており、大型IPO案件が相次ぐ中、薄商いが続けばそれ自体が相場の重石となる可能性も出てきそうです。
そして最後は景況感です。次の消費税率の引き上げ判断が12月に控えていますが、4-6月期GDPをはじめ、ここにきて景況感に対する警戒が高まっています。また、貿易統計でも円安傾向でありながら輸出が伸びておらず、逆に輸入調達コスト増というデメリットも意識され、「円安=株高」と素直に喜べない見方も出てきました。ちなみに、「1ドル=105円は日本経済にとって適正な水準」という榊原経団連会長の発言が今週8日(月)にありました。
とはいえ、円安効果で業績が上振れる企業も少なくはなく、「日本経済はイマイチでも儲かっている日本企業の株は買える」という、ミクロ視点のリクツで物色される銘柄は今後も出てきそうです。ただし、昨年の日本株市場の上昇率は世界の中でも突出していましたが、それは、アベノミクスによる日本経済復活への期待というマクロの視点による「日本買い」の面が大きいです。そのため、全体として上昇していけるかどうかは、結局、現在の相場の支援材料となっている、日銀の追加金融緩和や年金改革、成長戦略の具現化、2014年度の補正予算などの政治イベントの動向次第となりそうです。
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