下落局面の分割と下値水準
2月入りとなった今週の株式市場ですが、「米国の雇用統計を控えてもみ合いだろう」という大方の予想とは裏腹に、4日の日経平均が前日比で610円(4.18%)安という大きな下げ幅を見せ、先月終盤からの急落の流れを引き継ぐ格好となりました。
先週末までの攻防ラインは日経平均15,000円だったのが、今週に入ると14,000円割れが意識される場面があり、相場展開の速さはもちろん、気が付けば、あれよという間に相場の地合いが変化したという印象です。
確かに先月は月間を通じて下落基調でした。大発会からいきなり日経平均が382円(2.35%)安となりましたが、当時は「昨年末にあれだけ上昇していたわけだから、このくらいの株価調整はあってもおかしくない」という受け止め方がほとんどで、相場の先行きに対して強気ムードに大きな変化はありませんでした。
次の段階となるのは1月10日に発表された米雇用統計でした。NFP(非農業部門雇用者数)がまさかの市場予想を下回る結果となり、元々強気前提の予想が多かったため、マーケットは一時消化不良を起こしました。日経平均は一瞬急落しましたが、すぐに落ち着きを取り戻し、ここでも相場の強気ムードは一応維持されたといえます。ただ、以前このコラムでも触れたように、これまであまり意識されてこなかった悪材料に対して敏感に反応するようになり、積極的な上値追いの動きが見られなくなりました。
そしてその次にくるのが1月下旬のFOMC前後です。さらなる量的金融緩和の縮小が実施されるとの観測の中、「フラジャイル5」の通貨安をはじめ、中国の製造業PMIの結果や理財商品のデフォルト懸念、タイの政情不安など新興国発の悪材料が相次ぎ、米国の量的緩和縮小による新興国からの資金流出懸念とミックスし、さすがに強気ムードが後退し、不安先行による急落の場面が度々見られるようになりました。
米国の量的金融緩和縮小による新興国への影響を懸念する見方は、昨年5月の下旬に日経平均が急落した際にも見られた光景ですが、8月終盤まで調整局面が続き、再び上昇基調に戻るまでに約3カ月かかりました。もちろん、前回と今回の状況が同一ではありませんが、株式市場が落ち着き、次の展開に入るまで少し時間がかかる可能性は意識しておいた方が良いかもしれません。テクニカル分析の面では、昨年8月の安値(13,188円)と昨年末(16,320円)のいわゆる「3分の2押し」が大体14,230円のため、しばらくはこの水準が下値固めの目安として意識されそうです。
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