相場の「シフトチェンジ」はどこまで株価を押し上げるか?
今週の株式市場は、弱含みの値動きから一転、急速に戻り基調を強める展開となりました。特に、米国株市場に目を向けると、22日(火)と23日(水)の2日間でNYダウが1,500ドル近く上昇するなど、大きな反発を見せています。
こうした値動きの背景には、やはり米トランプ政権の動向が大きく影響しています。当初は、トランプ大統領がパウエルFRB議長を名指しで批判し、利下げを要求しただけでなく、解任についても言及したことで、中央銀行の独立性に対する信頼が揺らぎ、市場に大きな不安が広がって、米国市場は株安・債券安・通貨安の「トリプル安」という形で反応しました。
しかし、この状況を受けたトランプ大統領は、その後に「パウエル議長を解任する意図はない」と前言を撤回しました。さらに、ベッセント米財務長官が、米中の関税合戦について「持続可能でない」と発言し、緊張緩和を模索していると報じられたことも加わって、市場に安心感を与えました。
このように、足元の市場の動きからは、相場の捉え方に微妙な「シフトチェンジ」が起きている様子がうかがえます。先日、米国が相互関税の上乗せ分を発動した直後に、90日間の一時停止措置を講じたこと、そして、今回のパウエルFRB議長の解任発言をめぐる騒動は、いずれも米国市場が見せたトリプル安の動きがトランプ大統領の姿勢を変化させたと言えます。
つまり、表面上は「トランプ大統領が市場を振り回している」ように見えても、実は「市場の反応が逆にトランプ大統領を動かした」面も強まってきていると考えることができます。
もしそうであるならば、今後のトランプ政権の動きが波乱や混乱をもたらすような場合でも、市場が拒否反応を示すことで、方針を修正させるような場面が今後も増えるなど、政権の極端な動きの抑止力として働く可能性があります。場合によっては「最悪のシナリオを回避」できる期待がある一方、結局は「朝礼暮改」的な展開が続き、短期的に荒い値動きが繰り返されることで、中長期的なシナリオを描きにくい状況が続くことも想定されます。
しかも、トランプ大統領が今後もFRBや金融政策に対して口出しする可能性は依然として残っていますし、米中関係の緊張緩和観測も、交渉に向けた動きが具体的に進んでいるわけでもないため、相場ムードのシフトチェンジの芽は出始めていても、実体経済や具体的な政策などのシフトチェンジには、まだ時間が掛かりそうです。
そのため、足元の株価反発は、あくまでも「どこまで株価を戻せるか?」という点にとどまり、上値をトライするほどの株価上昇へとつなげて行くのは難しいかもしれません。

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