森と木の一体感
先週、あれよあれよという間に15,000円台を回復した日経平均ですが、今週に入ってからの前半戦は小幅ながらも3日続落となりました。先週一週間の上昇幅が1,079円と大きかったことや、世界的な株高を引っ張ってきた米NYダウが伸び悩みを見せていることが背景にあります。
ただ、短期的には日経平均が上振れるシナリオもないわけではありません。日経225オプション取引の12月限のコール建玉残高を、先週の月曜日(11日)と、今週の月曜日(18日)で比較すると、ここ一週間で権利行使価格が15500円〜16500円のゾーンで建玉が目立って増えています。ここから言えるのは、強気の短期筋が増えていることと、その分の売り方が存在することです。
コールの売り方は権利行使価格以上になると損失が発生するため、そのヘッジのために先物を買うことがあり、例えば、海外市場がさらに上昇するとか、一段の円安が進行するとか、また、相場の地合いが悪くならないまま、膠着感が出てくるなど条件付きではありますが、次回のメジャーSQ(12月13日)までの間に、売り方のヘッジ買いを狙った仕掛け的な買いが入って、日経平均が急に上振れることも考えられます。ただ、一時的な上昇になると思われ、その反動には注意が必要となります。
株式相場を見ていく際に、「森を見るか、木を見るか」という視点がありますが、足元の相場は、森である相場全体、特に日経平均は海外市場や先物取引に引っ張られる格好で上昇してきました。一方、木である個別への物色も活発ではありますが、短期間で物色対象が循環する動きが目立っています。下値不安が無いからこそ、循環が効いているといえますが、相場全体への波及があまり見られず、方向感が出にくい状況で、森と木がバラバラに動いている印象が強くなっています。
少し前を思い出して頂きたいのですが、例えば、2020年のオリンピック開催地が東京に決まった直後は、物色の対象が拡大し、少なからず、森と木が一体感を持って上昇していました。アベノミクスの初期段階でも、「これから日本が変わる」という期待が同様に日本買いの動きとなりました。
このまま行っても、企業業績を背景とした相場の底上げや地力がついてくる展開が予想されますが、「日本を買う」という材料が出てくれば、長期資金の流入も促し、株価の上昇に弾みがつき、16000円台以上も視野に入ると思います。「森と木の一体感」がキーワードとなり、金融面から実需面主導に移ることが、相場上昇の持続性につながります。
もっとも、それまでは短期的な動きが中心となります。基本的には、ファンダメンタルズを中心とした正攻法による押し目買いスタンスも有効と考えていますが、異常な上昇など、ボラティリティの霍乱要因に巻き込まれないように注意が必要です。ただし、逆を言えば、その反動による急落局面は格好の買い場になると言えます。
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