4-6月期GDP1次速報値の結果
今週の国内株式市場は、注目となっていた4-6月期GDP(1次速報値)の発表を受けてスタートしました。その結果ですが、実質GDP成長率(前期比年率換算)が+2.6%となり、前回(+3.8%)から減速したほか、市場予想の中心(+3.6%前後)からも大幅に下回りました。株式市場も売りで反応し、日経平均は一時180円を超える下げ幅となりました。
ただし、減速したとはいえ、3四半期連続のプラス成長を維持したことや、同じく3四半期ぶりに名目GDP成長率と実質GDP成長率の逆転が解消したこと、また、物価動向を示すGDPデフレーターが前期比でプラスに転じたことなどが見直され、その後は時間の経過とともに買い戻しが入り、前日比でプラスに転じる場面も見せました。結局この日の取引は下落で終了しましたが、GDPに対しては、「成長率自体は予想を下回ったけど、中身はそんなに悪くない」という評価だったと思われます。
最近は消費税の引き上げをめぐる議論が相場テーマのひとつとなり、今回のGDPに注目が集まった理由でもありますが、今回の結果が強弱まちまちとなったため、消費税を予定通り引き上げるのか、それとも先送りにするのか、明確な手掛かりは得られなかったことになります。GDPは来月9日に2次速報値が発表される予定ですが、どう修正されるのかが次のポイントとなりそうです。
そのヒントを探るため、今回の結果の内訳をもう少し細かく見てみます。プラスに寄与したのは、民間消費支出と政府支出、そして外需でした。一方、マイナスに寄与したのは設備投資と在庫投資でした。ただ、設備投資については前回よりマイナス幅が縮小しているほか、在庫投資については在庫調整の進展と前向きに捉えることができます。GDP2次速報値を算出するにあたっては、来月2日に発表される法人企業統計の結果が考慮されるのですが、設備投資と在庫投資の両者はその調査項目となっています。法人企業統計で両者の改善傾向が見られれば、GDPが上方修正される可能性があります。
とはいえ、設備投資のマイナスは、まだ、企業のマインドが強気になりきれていない状況を意味しています。企業の投資意欲を刺激するような政策が欠かせないわけですが、日本企業が置かれている事業環境は、高い法人税率をはじめ、FTAやEPAなどの出遅れ、厳しい労働規制、電力不足とそのコスト高など、国際競争力の面で不利な条件に囲まれているため、今後明らかになるアベノミクス成長戦略第2弾で、規制緩和や構造改革などにどこまで踏み込めるかがカギとなりそうです。
また、消費税引き上げの議論ですが、引き揚げの有無だけで議論するのではなく、引き上げを行うのなら、想定される景気下押し圧力をカバーするための政策、先延ばしなら、財政再建や規律を維持するための政策など、消費税以外にどんな政策をセットにするのかについて議論を深めていくことが重要です。今回のGDP発表の翌日の国内株は大幅反発となりましたが、その要因のひとつになったのは、安倍首相が法人税の引き下げを検討するよう関係機関や省庁に指示したという報道です。景気の下押し圧力の払拭や企業の国際競争力強化が主なねらいかと思われますが、消費増税とセットで打ち出すという姿勢が評価されたことが株価の上昇につながったと考えられます。
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