株式市場に上手くバランスをとったFOMC
祝日で日本市場が休場だった20日に米国FOMCの結果が公表されました。声明文では、足元の景気認識を、「足踏みした」から「穏やかな成長ペースに戻った」に上方修正した一方、同時に公表された2013年のGDP成長見通しは、やや下方修正されました。また、FOMC後に開かれたバーナンキFRB議長の会見では、警戒されていた量的緩和策の「出口戦略」について具体的な言及がなく、20日のNYダウは一時、先週14日につけた史上最高値を上回る場面が見られました。
先週まで、米国NYダウは連日で史上最高値を更新してきましたが、その背景には、思ったよりもしっかりしている米経済の「ほど良い回復」と「金融緩和の継続」の併せ技があります。リスクが取れる状況で、余ったお金が株式市場に向かうというリクツです。今回のFOMCを経て、その流れがしばらく続くだろうということが確認され、安心感につながりました。FOMC自体に大きな動きはなかったものの、株式市場にとっては絶妙なバランスだったと言えます。
こうした米国株市場の動きを受けて、21日の国内株市場は日経平均が約4年ぶりに12,600円台を回復しました。3月に入ってから、12,000円台、12,250円台、12,500円台と節目となる水準を次々と突破してきましたが、米国株の上昇がきっかけとなっています。
東証が発表している投資部門別売買動向を見ると、3月第1週の外国人投資家の買い越し額が1兆円を超えるなど、日本株を積極的に買っているのは外国人(国内の個人や機関投資家は売り越し)です。しばらくの間、日本株がさらに上を目指すのか、それともひとまず調整入りするのかは、外国人投資家のリスク許容度がカギを握りそうです。
今週に入って浮上したキプロス問題をはじめ、イタリアや北朝鮮など、今のところは大きなリスク回避の動きにはなっておらず、相場の地合いは強いですが、「ブラックスワン」は楽観ムードの中から突如として現れるため、油断は禁物です。
前回も触れましたが、国内株市場は、円安進行をはじめ、日銀の金融緩和観測、アベノミクスへの期待、企業業績の回復など、次々と好材料を先取りしてきました。特に、デフレ脱却を目指すアベノミクスの市場へのアプローチは、これまでのところ上手くいっていると言えます。また、FOMCとタイミングを同じくして、国内でも日銀の新体制が20日にスタートし、さらなる金融緩和の実施が規定路線となっています。
とはいえ、アベノミクスに対して冷静な評価が行われる場面がいずれやってきます。目標としている物価上昇も、「企業業績回復から賃金上昇、そして消費増」と、景気回復によってもたらされれば良いのですが、舵取りを誤ってしまうと、「先に物価だけが上がってしまい、景気はイマイチ」というシナリオも想定されます。
今週19日には白川前総裁の最後の記者会見が開かれましたが、そこで述べられた、「中銀が言葉で市場を思い通りに動かすということであれば、危うさを感じる」、「デフレの根本的原因は潜在成長力の低下」、「市場や政治の要求は、長い目で見た経済の安定と必ずしも一致しない」などの言葉には、円安と物価上昇そのものが目的でないことを改めて考えさせてくれる置き土産だと言えます。
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