「アフター日銀会合」の株式市場は企業決算待ち
日銀の金融政策決定会合終了後の国内株市場の動きは、これまでの上昇ムードが一服した印象となっています。会合では、「物価安定目標(消費者物価の上昇率2%)」と、「オープンエンド」型の資産購入(毎月一定額の金融資産を買い入れる)の導入が決定されたほか、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現を目指す方針が盛り込まれた「政府との共同声明」が発表されました。
今回の会合の結果は、ほぼ事前に予想されていた通りではありますが、一方で失望と見る動きもあったようです。物価安定目標の達成期限が設けられていないことや、オープンエンド型の資産購入も、開始されるのが2014年でちょっと先になること、一部でサプライズ要因と見られていた、日銀当座預金に対する付利の引き下げや撤廃についての議案がなかったことなどがその背景として挙げられます。また、資産買い入れ基金の増額についても、2013年は基金の追加がなく、2014年も10兆円程度にとどまっており、確かに、金融緩和という面では大胆なものとは言えない内容です。
とはいえ、日銀の金融政策が物価安定から物価上昇に働きかける姿勢に変化したことや、今後も金融緩和政策を維持していくことは間違いなく、ひとまずはイベント通過による材料出尽くしと見た方が良さそうです。これから本格化する国内企業決算の動向が次の相場材料になりますが、昨年11月中旬より、安倍政権の期待や円安進行を背景に、主力輸出株が中心となって株価が急上昇してきました。円安効果による企業収益期待は、既にある程度株価に織り込まれた格好となっているため、足元の動向と来期の見通しについて、「実際のところはどうなの?」を見極めていくことになります。
それまでの間は、循環物色や個別銘柄物色の動きが目立つレンジ相場が想定されます。日経平均で言えば節目の1万500円を中心に、ふたつの移動平均線(5日と25日)の間がメインレンジとなりそうです。今後も為替市場の動きに左右されやすい地合いが続くことになります。
ただし、為替の円安傾向については、海外からの反応が微妙になってきており、英国の中央銀行総裁をはじめ、ドイツの中銀総裁や財務相などからも急ピッチな円安を牽制する発言が相次いでいます。また、2月にはG20や日米首脳会談などのイベントが予定されていますが、韓国の政府要人が「G20会合で日本の政策の影響について議論する」と述べたとの一部報道もあり、日本の円安をきっかけとした通貨安競争に対する警戒も出始めています。
そのため、前回の原稿でも触れたように、政府の為替市場に対する認識が、「円安誘導」もしくは「円高修正」なのか、またその水準はいくらなのかを探る展開となり、為替市場の動きがその時々の思惑で荒くなる可能性が高くなりそうです。
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