リンク<4428> 「世界中の無駄を10%削減する」をビジョンに小売業・卸売業・製造業の在庫を削減

2019/01/15

自動発注・在庫最適化ソフト「sinops」を開発・販売
「世界中の無駄を10%削減する」をビジョンに小売業・卸売業・製造業の在庫を削減

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木伸行

◆ 在庫最適化ソフトを提供
リンク(以下、同社)は、「世界中の無駄を10%削減する」をビジョンに掲げ、小売業、卸売業、製造業の流通三層の在庫を最適化するためのソフトウェアパッケージ群「sinops注1(シノプス)シリーズ」を展開している(図表1、2)。

◆ 小売業向けsinopsシリーズ
小売業向けsinopsシリーズは、17/12期の売上高の74.5%を占めている。18年9月末時点で食品スーパーを始めとする小売業向けの導入実績は契約先が54社、稼働店舗数は17/12期末比32.4%増の4,392店舗に達している。また、同時点で納入を予定している先を1,000店舗程度抱えており順調に契約店舗数は拡大している。以下、小売業を対象としている主要製品について紹介する。

sinops-R6
同社の主力製品であるsinops-R6は、エキスパート法注2によるAI機能を搭載した小売業向け需要予測型自動発注システムである。日配品注3、パン、惣菜等、賞味期限が短く、且つ、週に何度かのチラシ特売により価格も頻繁に変わるカテゴリに対応している。

例えば、ある牛乳を50円引きで特売すると何割販売数が増えるのかという予測はもちろん、代わりに日ごろよく売れている牛乳が影響を受け販売数が何割減少するのかというカニバリゼーションも予測しなければならない。

sinops-R6 は過去のデータから商品ごとに販売価格別に販売数を自動計算
するのみならず、影響を受けるライバル商品の販売数も併せて計算し、必要
に応じて発注数を抑制する。このため、欠品による機会ロスのみならず、値
引きロスや廃棄ロスも削減することができる。

sinops-Pad
sinops-Pad はタブレット上で棚割注4 を修正できるシステムで、非常に面倒な
棚割修正を直感的に操作できる。このシステムにより、棚割データが現場と
一致し易くなり、最適発注を継続するために必要な情報を本部でも正確に
把握できるようになる。

sinops-GOT
sinops-GOT は、タブレットを発注端末として利用できるシステムである
sinops-Pad とセットで利用することにより、店舗の発注関連業務をワンストッ
プで解決できる。

◆ 4 つの業務区分
同社の事業はsinops 事業の単一セグメントであり、①sinops シリーズを一括
販売型で提供するパッケージ販売、②sinops の導入効果を最大化するため
のシステム構築及び運用構築を支援する導入支援、③sinops の日常運用
を支援するサポート、④sinops シリーズを利用料型で提供するレンタルの4
つの業務を軸に事業を展開している(図表3)。

◆ パッケージ販売
パッケージ販売は17/12 期の売上高の46.5%を占める同社の主力業務であ
る。小売業向け需要予測型発注システム「sinops-R6」を中心に、品揃え計
画、棚割計画、棚割メンテナンス、発注端末、本部送り込み注5 支援、賞味
期限管理等の機能が統合されたソフトウェアパッケージ群を一括販売型で
提供している。また、卸売業向けキャッシュ・フロー最適化システム
「sinops-W」、製造業向け中長期需要予想システム「sinops-M」等、流通三
層それぞれに向けたパッケージ製品を展開している。

おおよその価格は本部パッケージが2,000万円、店舗パッケージはスーパーマーケット用が1店舗当たり50万円、スーパーマーケット以外は同20万円である。

◆ 導入支援
sinopsシリーズを導入する企業に対して、基幹システムとのデータ連携、本部・店舗・拠点での運用構築支援やインターフェイス等のカスタマイズ開発のサービスを提供している。パッケージ販売もしくはレンタル販売する先には、必ず導入支援サービスを提供し、導入企業が、sinopsシリーズの導入効果を引き出せるようにすることを重視している。導入支援の対価は最低価格として導入6カ月間で1,200万円としている。

sinopsシリーズが目標通りの効果を表すか否かは、この導入支援にかかっており、精緻なKPI(主要業績指標)の定義・把握や期待する効果について顧客との共有を徹底的に図ることにより、導入後の顧客満足度の向上につなげている。

◆ サポート
sinopsシリーズの導入支援が完了した先に対して、日々の問い合わせ対応、稼働・運用状況の監視、障害発生時のリカバリー作業及びKPIの維持向上サービスを提供している。年間でパッケージ代金の15%をサポートサービス料金として徴収している。

顧客の98%が継続使用しており、導入先から定期的に収入が入るストック型ビジネスとして、同社の経営の安定に貢献する業務となっている。

◆ レンタル
パッケージ販売の一括販売型と異なり、利用料型で提供するのがレンタル販売である。顧客にとっては、ライセンス費用やサーバ費用といった初期導入コストが節約できる。

>>続きはこちら(1.17 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

このページのトップへ