ガーデン(274A)積極的な新規出店及びM&Aの活用により、継続的な利益成長を目指す

2024/11/29

ラーメン・うどん店などの飲食店を首都圏中心に展開
積極的な新規出店及びM&Aの活用により、継続的な利益成長を目指す

業種:小売業
アナリスト:吉林拓馬

◆ ラーメン店「壱角家」などを展開
ガーデン(以下、同社)は、M&Aを活用した飲食事業を展開しており、ラーメン、レストラン、ステーキ、寿司などの飲食店舗の運営事業、保有するブランドにかかるフランチャイズ事業、及び不動産事業を行っている。同社の主力ブランドは、ラーメン店「壱角家」、うどん店「山下本気うどん」である。

同社は15年12月に現代表取締役社長である川島賢氏により設立された。川島氏は同社設立以前に業績不振のカラオケ店の立て直しを行い、事業再生を実現した経験を持つ。その後、ステーキ店、牛丼店、ラーメン店などの飲食店を買収し、事業再構築、生産性改革、収益構造改革により再生したことを契機として、飲食店事業を本格化した。

同社は飲食事業の単一セグメントであるが、業態などにより事業をラーメン事業、レストラン事業、ステーキ事業、肉寿司事業、フランチャイズ事業、不動産事業を含むその他事業に分類している。24/2期の売上構成比は、ラーメン事業が66.5%、レストラン事業が15.4%、ステーキ事業が9.4%、肉寿司事業が2.8%、フランチャイズ事業が4.4%、その他事業が1.4%であった。

24年9月末の店舗数は直営店157店舗、フランチャイズ事業36店舗の合計193店舗である(図表1)。フランチャイズ事業の36店舗にはラーメン事業、ステーキ事業における業務委託店舗(各々1店舗)が含まれている。業務委託店舗とは同社の授業員が独立制度を利用して同社ブランドの既存店舗の運営、管理を行うもので不動産や設備費用、ロイヤルティなどがかからない。

◆ ラーメン事業
同社のラーメン事業は、横浜家系ラーメンの「壱角家」と「横浜道」、博多豚骨ラーメンの「一竜」と「だるまのめ」、背脂醤油とんこつラーメンの「てらッちょ。」などで構成されており、幅広いジャンルのラーメンを提供している。その中で主力ブランドは「壱角家」であり、「壱角家」の24年9月末の店舗数は122店舗(うち、フランチャイズ店が23店舗)である。

同社が提供する横浜家系ラーメンは、濃厚でクリーミーなスープと、スープに絡みやすい特注の中太麺が特徴である。同社のスープと麺は、横浜家系ラーメン「町田商店」などを展開するギフトホールディングス(9279東証プライム)に製造を委託しており、味の均質化を図るとともに、店舗での調理工程を省力化している。店舗のオペレーション面では、長年の経験から作成したマニュアルをもとに営業しており、調理経験が浅い従業員でも安定した品質の料理及びサービスを提供することができる。

「壱角家」の店舗は首都圏における好立地の路面店を中心に出店しているが、居抜き店舗の活用などにより初期投資を低く抑えている。また、仕込みに技術や工数のかかるスープや麺の製造を外部委託することにより人件費を削減し、茹で時間を短縮した麺を開発し、客席の回転率を高めることにより高い収益性を確保している。「壱角家」の平均投資回収期間(サービス開始から24年2月末までの実績)は33.8カ月と、3年以内の黒字化を実現している。

◆ レストラン事業
同社のレストラン事業は、うどん店「山下本気うどん」、ハワイアンレストラン「RRainbow」、「The Veranda」により構成されている。

「山下本気うどん」は、同社が17年に商標を使用する権利(ライセンス)を取得し、好立地への出店、内外装の変更、メニュー開発などブラッシュアップを行った上で、21年に商標権を獲得し本格的に店舗展開を開始した。「山下本気うどん」は積極的に出店を行っており、24年9月末の店舗数は24/2期末より5店舗増の17店舗に達している。

定番メニューは、讃岐うどんの伝統を受け継ぎ、店内で製麺している喉越しの良いモチモチ食感の麺と風味豊かな出汁が特徴である。また、見栄えの楽しさも意識した期間・季節限定メニューや新メニューなどの開発にも積極的に取り組んでいる。

限定メニューや創作メニューは、定番メニューよりも単価が高く設定されているが、「SNS映え」を意識したインパクトのある見た目と食べやすい味付けにより特に女性客に人気があり、SNSでの拡散やテレビなどのメディアへの露出により知名度が高まっている。高単価メニューの貢献により、24/2期の客単価は1,047円と、他のうどんチェーン店と比べて高い。

ハワイアンレストランは、「オープンテラスのあるハワイアンレストラン」をコンセプトとして、ロコモコやガーリックシュリンプなどのハワイアングルメを提供している。昼間はカフェとして、夜はパーティーなどに利用されることが多い。

◆ ステーキ事業
同社のステーキ事業は、「情熱のすためしどんどん」、「鉄板王国」、「ステーキの王様」などにより構成されている。

「情熱のすためしどんどん」は、独自に開発したにんにく醤油で炒めた豚バラ肉をご飯にのせた丼を提供している。「鉄板王国」、「ステーキの王様」は、焼きたてのステーキやハンバーグをリーズナブルな価格で提供しており、鉄板で好みの焼き加減に仕上げたステーキを、10数種類のスパイスや果実を独自にブレンドしたオリジナルソースとともに提供している。

◆ 寿司事業
同社の寿司事業は、「回転寿司プレミアム海王」、「肉寿司/シン・ニクズシマン」により構成されている。

「回転寿司プレミアム海王」はお台場の大規模商業施設内に店を構え、主に観光客に対して握り寿司、創作寿司など豊富なメニューを提供している。また、食べ放題メニューやインバウンド向けに金箔を使った「プレミアムゴールド握り」など顧客の嗜好に合わせたメニューを提供している。「肉寿司/シン・ニクズシマン」は、「肉をおいしく食べる方法と、新しい価値の有る料理」をコンセプトとして、馬・牛・豚・鶏など、様々な種類の肉を最適な調理法で提供する肉料理専門の寿司店である。

◆ フランチャイズ事業
各ブランドにおいてフランチャイズ事業も行っている。ラーメンのフランチャイズ店においては、スーパーバイザーによる経営指導、食材の卸売りを行い、「肉寿司」はそれらに加えてブランド使用による対価としてロイヤルティを徴収している。24年9月末時点のフランチャイズ店舗数は、「「壱角家」が23店舗、「一竜」が4店舗、「肉寿司」が8店舗、「情熱のすためしどんどん」が1舗鋪の合計36店舗(うち、2店舗は業務委託店舗)である。

◆ その他事業
店舗物件情報の早期取得を目的として不動産事業を行っており、一部不動産仲介、不動産転貸借を行っている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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